会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
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関東信越税理士界『論陣』掲載論文(PDF 3枚)
『有償支給取引と循環取引に内在する
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:米国経済学者が描く総費用曲線や限界費用曲線って、おかしくないか?

<<   作成日時 : 2017/04/10 01:00   >>

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米国経済学者が描く総費用曲線や
限界費用曲線って、おかしくないか?



今回は、従前ブログ『個人の選択:経済学の核 クルーグマンミクロ経済学』の続き。

企業のコスト構造について、現代の会計学は、右上がりの直線形で描きます。
直線形というのは、1次関数のこと。

管理会計の分野では、CVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析)という名で、1次関数の図表を描きます。
原価計算・コスト管理の分野では、公式法変動予算という名で、これまた1次関数の図表を描きます。

企業のコスト構造を1次関数で描こうとする会計学のその理論が、経済学から見下される要因となっていることは、次の関連記事で説明しました。
【資料1:関連記事】

では、会計学を見下してやまぬ経済学では、企業のコスト構造をどのように扱っているか。
次の3冊の書籍で読み解くのは、実は非常に難しい。
マンキュー ミクロ経済学
N.グレゴリー マンキュー
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クルーグマン ミクロ経済学
ポール クルーグマン
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スティグリッツ ミクロ経済学
ジョセフ・E. スティグリッツ
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以下では、人名を書籍名として採用します。


まず、経済学では、次の3本の曲線を扱います。
【資料2】

  1. 総費用曲線

  2. 限界費用曲線

  3. 平均費用曲線

注目するのは、【資料2】1. の総費用曲線と、同 2. の限界費用曲線です。

2本の曲線の間には、次の関係があります。
【資料3】

  • 総費用曲線を微分すると、限界費用曲線になる。

  • 限界費用曲線を積分すると、総費用曲線になる。

つまり、総費用曲線上の「接線の傾き」が、限界費用曲線の正体です。


『マンキュー』では、476頁と502頁で、総費用曲線を2次関数として捉えています。
したがって、総費用曲線を微分することにより、限界費用曲線は1次関数になります。

『スティグリッツ』では、189頁と220頁で、総費用曲線を3次関数として捉えています。
したがって、総費用曲線を微分することにより、限界費用曲線は2次関数になります。


経済学書のほとんどは、総費用曲線を微分する技法を説明しないし、ましてやその結果が限界費用曲線になる、という説明も行ないません。

不親切なものになると、総費用曲線の図解を省略し、限界費用曲線と平均費用曲線の2本の曲線だけで説明しているものもあります。

「数学嫌い」が蔓延(はびこ)る世の中では、仕方のないことです。


ただし、総費用曲線の説明が省略されていても、次の推定を働かせることができます。
【資料4】
  1. 限界費用曲線が右上がりの直線で描かれているときは、

    →限界費用曲線は1次関数であり、

    →総費用曲線は2次関数なのだなと。

  2. 限界費用曲線が右上がりの曲線で描かれているときは、

    →限界費用曲線は2次関数であり、

    →総費用曲線は3次関数なのだなと。


『マンキュー』は、【資料4】 2. と解釈される作図が一部にあるものの、基本的には【資料4】 1. を採用しています。

『スティグリッツ』は、【資料4】 1. と解釈される作図が一部にあるものの、基本的には【資料4】 2. を採用しています。


困ってしまうのが、『クルーグマン』。
『マンキュー』や『スティグリッツ』のように、2次関数や3次関数を明示していません。

ただし、『クルーグマン』430頁を見ると、限界費用曲線を2次関数で描いています。

したがって、『クルーグマン』では、総費用曲線を3次関数で認識するのが基本のようです。


いずれにしろ、経済学では、企業のコスト構造を次のように捉えるのが通説です。
【資料5】

  • 総費用曲線は、2次関数または3次関数。

  • 限界費用曲線は、1次関数または2次関数。

ところが、現実の企業活動や経済現象では、次の【資料6】に示す事実を観察することができます。
【資料6】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。

    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。

    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。

    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。

    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。

    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。

    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。

    • 入金と出金を無限回数で繰り返すその様は、無限で連鎖する複利計算を行なっていることと同じです。
  • 株式市場や仮想通貨市場を観察してみてください。

    • 人気が沸騰すればするほど、限りなくゼロに近い時間軸の中で、膨大な数の取引が行なわれます。

    • 買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶその経済現象は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • マクロ経済の産業連関表を観察してみてください。

    • ある産業で生産された中間財は次の産業へ投入され、そこで生産された中間財は次の産業へと投入されていきます。

    • その流れは、マクロ経済レベルで、無限回数の複利計算を行なっていくことと同じです。

すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。
したがって、描かれる曲線は、複利関数に基づくべきです。

【資料5】にあるように、限界費用曲線や総費用曲線を、1次関数・2次関数・3次関数で認識するのは、「理論上の瑕疵がある」とするのが、実務家である私(高田直芳)の結論です。

それをまとめたのが、次の受賞論文です。
【資料7】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記【資料6】と【資料7】によれば、総費用曲線は、「自然対数の底e」を用いた複利曲線として描かれます。
そして、総費用曲線を微分した限界費用曲線も、「自然対数の底e」を用いた複利曲線として描かれます。

なぜなら、 は、これを微分すると になり、積分しても になるからです。

これが、ニュートンやライプニッツから始まる微分積分の成果です。


「自然対数の底e」を用いた複利曲線の特徴は、ずっと右上がりの曲線を描くところにあります。
複利計算構造を内蔵する限界費用曲線が、U字型になることは、決してありません。

ところが、『マンキュー』391頁では、限界費用曲線が、U字型で描かれています。

『スティグリッツ』190頁では、総費用曲線が3次関数で描かれ、191頁では限界費用曲線が、U字型で描かれています。

『クルーグマン』430頁では、限界費用曲線が、U字型で描かれています。
ご丁寧にもその430頁では、限界費用曲線がU字型になる理由まで述べられており、思わず絶句。

三者三様ではありますが、『マンキュー』 『スティグリッツ』 『クルーグマン』のすべてで、U字型の限界費用曲線が描かれています。


米国の経済学者たちよ、ちょっと待て。
それって、おかしくないか。
「机上の空論」を語るにも、ほどがある。

日本経済や世界経済は連日話題になることがあっても、経済学が話題になるのは皆無。
ましてや、米国崇拝主義と翻訳輸入が蔓延(はびこ)る日本からでは、この声は届かないか。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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