会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
会計物理学&会計雑学講座
Accountphysics & Accounting Trivia
© 2015 TAKADA Naoyoshi & CPA FACTORY Co.,Ltd.
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:アマゾンの最安値問題を説明できない会計学の愚かさを問う〔その3〕

<<   作成日時 : 2017/06/04 01:00   >>

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アマゾンの最安値問題を
説明できない会計学の愚かさを問う
その3



今回は、第3回です。
前2回は、次の説明を行ないました。
【資料1】

  1. アマゾンの最安値問題 【関連記事 その1】
    → 価格上限規制
    → 生産者余剰の一部が、消費者余剰へ転嫁される。

  2. 酒類販売の安値販売の規制強化 【関連記事 その2】
    → 価格下限規制
    → 消費者余剰の一部が、生産者余剰へ転嫁される。

上記の問題が起きるのは、価格弾力性に原因があるからです。
次の書籍246ページで、その理由が述べられています。
クルーグマン ミクロ経済学
ポール クルーグマン
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【資料1】の事例において、もし、アマゾンへの納入業者が直面する供給曲線の価格弾力性が「1」よりもはるかに大きいのであれば(無限大であるならば)、公正取引委員会が目くじらを立てることはありません。
なぜなら、生産者余剰は限りなくゼロとなり、アマゾンによって搾取されるものがないからです。

価格弾力性が「1」よりもはるかに小さいから、公正取引委員会が介入するのです。


そこでまず、価格弾力性が「1」よりもはるかに大きい(無限大になる)ケースを考えてみることにします。
これは、供給曲線が水平になる、ということです。

それを図解しているのが、次の書籍152ページに掲載されている〔図5-6 供給の価格弾力性はどのように変化するか〕です。
マンキュー ミクロ経済学
N.グレゴリー マンキュー
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上掲書〔図5-6〕の一部を描いたのが、次の【資料2】です。
【資料2】供給曲線の価格弾力性
画像

世界に名だたるマンキュー教授が描くのですから、【資料2】は正しいのでしょう。

そうなると、いくつかの疑問が浮かび上がります。


そもそも、供給曲線は、どのようにして描かれるのでしょうか。

『マンキュー・ミクロ経済学』414ページでは、短期の供給曲線の根拠が記述されています。
また、同書417ページでは、長期の供給曲線の根拠が記述されています。

短期にしろ、長期にしろ、限界費用を連ねたものが供給曲線になる、というのが経済学の結論です。


では、限界費用とは何か。
これは総費用曲線上の「接線の傾き」のことです。

会計学の用語でいえば、変動費率のこと。(変動費ではありません)

したがって、変動費率(限界費用)を連ねたものが、供給曲線になります。


会計学では、変動費率をどのようにして表わしているのか。

これは「何とかの一つ覚え」みたいに、次に掲げるCVP図表(損益分岐点図表)というものを利用します。
【資料3】CVP図表(損益分岐点図表)
画像

上記【資料3】において、∠CABは変動費率、すなわち限界費用を表わします。
この変動費率(限界費用)の傾きは、一定です。

したがって、会計学では、供給曲線を、横軸に水平で描くことになります。
これは何を意味するか。


会計学では供給曲線を水平に描くのですから、
    →供給の価格弾力性は「1」よりもはるかに大きく、無限大となり、
    →生産者余剰はゼロとなります。

したがって、会計学者や公認会計士などの会計専門家の立場からすると、
    →アマゾンジャパンが、納入業者に対して最安値を要求する行為は、納入業者にとって何ら不利益とならず、
    →アマゾンジャパンの最恵待遇条項は、まっとうな約款であり、
    →公正取引委員会が問題視するのは不当な介入である、
という結論になります。

へぇ、そうなんですか。

──まったく何を考えているんだか。
こういう、とんちんかんな結論を導く会計学を、古典派会計学といいます。


参考までに述べると、【資料3】で、供給の価格弾力性を「1」よりも大きく描くことは可能です。
それは、総費用線ACの傾きが、売上高線ODを上回る場合です。

ただし、この場合、固定費はマイナスに転落します。
そうした作図が、理論として成り立つのかどうか。

前世紀(20世紀)初頭から百年以上もの間、「成り立つのだ」としてきたのが、古典派会計学です。

──まったく何を考えているんだか。


古典派会計学の、どこに誤りがあるのでしょうか。

現実の企業活動を観察すると、次の【資料4】に示す事実を見出すことができます。
【資料4】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。

    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。

    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。

    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。

    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。

    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。

    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。

    • 入金と出金を無限回数で繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 株式市場や仮想通貨市場を観察してみてください。

    • 人気が沸騰すればするほど、限りなくゼロに近い時間軸の中で、膨大な数の取引が行なわれます。

    • 買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶその経済現象は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • マクロ経済の産業連関表を観察してみてください。

    • ある産業で生産された中間財は次の産業へ投入され、そこで生産された中間財は次の産業へと投入されていきます。

    • その流れは、マクロ経済レベルで、無限連鎖の複利計算を行なっていくことと同じです。

すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。

上記【資料4】の命題に基づいて、企業のコスト構造を描くと、次の【資料5】になります。
【資料5】タカダ式操業度分析
画像

上記【資料5】で描かれている曲線ABCDEは、複利曲線です。

それに対し、【資料3】では、企業のコスト構造を右上がりの直線で描いています。
これは企業のコスト構造を、単利計算構造で捉えていることになります。

企業のコスト構造は複利計算構造を内蔵しているにもかかわらず、それを単利計算構造で解き明かそうとする古典派会計学が、如何にとんちんかんな理論であるか、知れようというものです。


上記【資料5】にある曲線ABCDE上の接線の傾きは限界費用なのですから、これを繋ぎ合わせると、次の【資料6】の供給曲線を描くことができます。
【資料6】タカダ式操業度分析から導かれる供給曲線
画像

上記【資料6】が、【資料2】および『マンキュー・ミクロ経済学』152ページ〔図5-6〕とよく似ていることを確認してみてください。

上記【資料6】で表示している方程式は、【資料5】から導かれる供給曲線の方程式です。


【資料4】から【資料6】までの理論に基づいた場合、アマゾンジャパンの最恵待遇条項は不当な約款であり、公正取引委員会が介入する行為は正しい、という結論が導かれます。

以上が、100万人が信奉する古典派会計学に対して、たった1人で対抗する「会計物理学の世界」です。

なお、【資料4】と【資料5】の詳細は、次の受賞論文を参照のこと。
【資料7】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

CVP分析(損益分岐点分析)に立脚した古典派会計学を墨守する人たちに警告しておく。

そのような体たらくだから、いつまで経っても会計学は、経済学から見下されるのだということを。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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