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zoom RSS 公認会計士高田直芳:政府の成長戦略は経産省のROEに駄目出ししてROAへと舵を切る

<<   作成日時 : 2017/08/20 01:00   >>

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政府の成長戦略は
経産省のROEに駄目出しして
ROAへと舵を切る



2017年8月3日付の日本経済新聞では、次の記事が掲載されていました。
【資料1】日本経済新聞「真相深層」2017年8月3日

政府が6月に公表した成長戦略「未来投資戦略2017」は、企業の稼ぐ力を測るモノサシの一つである「総資産利益率(ROA)」の改善を新目標に掲げた。


上記【資料1】にある「未来投資戦略2017」については、次の【資料2】のサイトを参照。
その「全体板」114ページに、【資料3】の文言が記載されています。
【資料2】
【資料3】「未来投資戦略2017」

大企業(TOPIX 500)のROAについて、2025年までに欧米企業に遜色のない水準を目指す。


経済産業省の主導のもと、2014年に『持続的成長への競争力とインセンティブ』というレポートが公表されて以降、上場企業の多くがオカミの威光に平伏し、企業統治改革の現場では猫も杓子も「ROEの向上」が叫ばれてきました。

ところが、2014年のレポートに名を連ねた人たちや経済産業省のメンツを、あっさり潰す形で、新たな指標(ROA)が2017年6月に突如として登場。

顔を上げたら、頭を下げる相手を間違えていた──。
上記【資料1】の記事にもあるように、上場企業などの間で戸惑いの声が広がるのも、当然だといえるでしょう。


上記【資料1】の記事では、ROE(自己資本利益率)と、ROA(総資本利益率)の比較が述べられています。
要約すると、次の通り。
【資料4】
  1. ROEは、株主目線の指標である。
    • ニッポンの企業は、株主に報いる以前に、事業の収益性が低い、という問題点を抱える。

    • その問題点を隠すために、上場企業の中には、借金で調達したカネで自社株を買って消却し、それをテコ(財務レバレッジ)にして、ROEが一気に改善されたかのように見せかける事例が横行した。
  2. ROAは、従業員目線の指標である。
    • ROAの分母である総資産は、株主の持ち分(自己資本)だけでなく、負債(他人資本)も用いて、企業が長年築き上げてきたもの。

    • すべての資産を活用して、どれだけ効率的に稼いでいるかを測定するには、ROEよりも、ROAのほうが優れている。

ROEとROAの関係を式で表わすと、次の【資料5】の通り。
【資料5】

(自己資本利益率:ROE)

    =(総資本利益率:ROA)×(財務レバレッジ)

上記【資料1】の記事では、【資料5】の式を利用して、ROEの問題点を次のように述べています。
【資料6】日本経済新聞「真相深層」2017年8月3日

日本企業は内部留保が厚く、財務レバレッジが低いと思われがちだ。

実際は海外企業とほぼ変わらず、問題はROAの低さにある。

ROEだけを目標にすると、低収益という最大の問題を覆い隠してしまう恐れがある。


上記【資料6】にある「内部留保」や、【資料4】にある「自社株消却」や「他人資本」の問題については、次の関連記事を参照。
【資料7:関連記事】

ROA(総資本利益率)と一口にいっても、次の2種類があります。
【資料8】

  1. 総資本当期純利益率

  2. 総資本営業利益率

法人税等の税効果を考慮すると、【資料8】1. の総資本当期純利益率よりも、同 2. の総資本営業利益率のほうが優れていることを、次の拙著124ページで説明しています。
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ROEの分母にある自己資本を、総資本に置き換えれば、ROAになるだけの話だろう、と安直に考えると、税効果で足をすくわれてズッコケますからね。

また、ROEやROAには、「弾力係数」という自爆装置があって、これが作動すると業績を読み誤る可能性があることは、次の拙著260ページで説明したとおり。
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ROEやROAが抱える自爆装置を封じるために開発したのが、次の拙著248ページにある「戦略利益」という概念です。
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戦略利益の基礎となる理論が、次の受賞論文にある「タカダ式操業度分析」です。
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上場企業諸君、頭を下げる相手を間違えないように、注意喚起しておきます。


2014年以降、産業界で広く唱えられた「ROE経営」は、次の関連記事で紹介したように、経済産業省が音頭を取ったもの。
【資料9:関連記事】

上場企業の多くが、経済産業省の音頭に乗せられて木に登ったものの、突如としてハシゴを外された、といったところ。

経済産業省の企みが、他の省庁によって引っ繰り返されるであろうことは、上記【資料9】で予言したとおり。

朝にROEが発令されたと思っていたら、夕べにはROAに改められる。
これを、朝令暮改といいます。

ニッポンの企業には主体性がなく、オカミの威光に恐れおののきながら行動する傾向があるので、朝令暮改の政策には戸惑いの声が上がることになります。


「官製ROE」に、へいこら、へいこらしていた上場企業は、今度は「官製ROA」に、へいこら、へいこらするのだろうな。

会計の専門家はというと、やれROEだ、それROAだと、他人のフンドシを抱えて右往左往するばかり。

桟敷席にいる投資家やアナリストは、やいの、やいのと大騒ぎだぜ。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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