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zoom RSS 公認会計士高田直芳:加重平均資本コスト率を微積分して企業価値を求める解法

<<   作成日時 : 2017/10/01 01:00   >>

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加重平均資本コスト率を微積分して
企業価値を求める解法



次の関連記事では、加重平均資本コスト率WACCに絡めて、企業価値や事業価値を語る愚かさを説明しました。
【資料1:関連記事】

上記の関連記事では、次の【資料2】に示す加重平均コスト率を積分しなければ意味がない、とも説明しました。
【資料2】
\[\displaystyle \large WACC = \frac{D}{D + E} (1-t) \cdot r_{d} + \frac{E}{D + E}r_{e} \]\[\displaystyle \begin{eqnarray}
D &:& {\rm{他人資本(負債の部)}} \\
E &:&{\rm{自己資本(株主資本)}} \\
t &:& {\rm{法定実効税率}} \\
r_d &:& {\rm{他人資本コスト率(負債コスト率)}} \\
r_e &:& {\rm{自己資本コスト率(株主資本コスト率)}} \\
\end{eqnarray} \]

今回は、上記【資料2】を積分した結果(方程式)を、下記【資料6】に掲げました。

その前にまず、上記【資料1】の関連記事で述べたことを、次の【資料3】で復習しておきます。
【資料3】
  1. 通常、負債コスト率は株主資本コスト率よりも低く、しかも負債には節税効果が働く。

  2. したがって、負債を増やすほど節税効果が働き、加重平均資本コスト率(以下、WACCと略称)は低下する。

  3. ところが、負債を増やしすぎると倒産リスクが増大し、負債コスト率が急上昇するため、WACCは反転上昇する。

  4. 上記 (2) と (3) から、WACCには、低下から上昇へ向かう「極値」があるはずであり、そこを「最適資本構成」という。

  5. ファイナンス論で有名な「MM理論」によれば、最適資本構成となるところで、企業価値や事業価値は最大となる。

  6. ただし、WACCから直接、企業価値や事業価値を論ずるのは誤りである。

  7. なぜなら、上記 (2) と (3) から明らかなように、WACCは「ある曲線」の接線の傾きを表わすにすぎないから。

  8. 上記 (7) の「ある曲線」を、企業価値曲線・事業価値曲線・最適資本構成曲線と名付けることにする。

  9. 上記 (8) の曲線を求めるためには、【資料2】のWACCを積分する必要がある。

  10. ところが、現代の経済学やファイナンス論では、誰一人として「積分する解法」を見出しておらず、「実務での検証が望まれる」といった形で、お茶を濁している。

専門書やビジネススクールなどで、加重平均資本コスト率や企業価値・事業価値を論ずる者を見かけたら、それは他者の教科書などをコピー&ペーストしているだけ。

次の関連記事で紹介したように、ノーベル賞受賞者・山中伸弥教授のいう「阿倍野の犬実験」に喩えるのも、おこがましいというべきか。
【資料4:関連記事】

アメリカの研究者がアメリカの犬は頭を叩いたら「ワン」と吠えたという論文を発表すると、日本の研究者は、日本の犬も頭を叩いたら「ワン」と吠えたという「日本の犬実験」の論文を書く。

さらにひどい研究者は阿倍野区の犬を調べてやはり「ワン」と吠えたという「阿倍野の犬実験」の論文を書く。

そういう誰かの二番煎じ、三番煎じの研究はするなというのが、「阿倍野の犬実験はするな」という言葉の意味です。


ということで、【資料2】を導関数 \(\displaystyle f(w) \) とし、これを積分した原始関数を \(\displaystyle F(w) \) として、次の【資料5】(1) → (2) → (3) の順で展開していきます。
【資料5】
\[\displaystyle f(w) = \frac{D}{D + E} (1-t) \cdot r_{d} + \frac{E}{D + E}r_{e} \tag{1} \] \[\displaystyle F(w) =\int f(w) dw \tag{2} \] \[\displaystyle F(w) = \int \left( \frac{D}{D + E} (1-t) \cdot r_{d} + \frac{E}{D + E}r_{e} \right) dw \tag{3} \]
上記【資料5】の各記号は、【資料2】をそのまま用いています。
また、【資料5】にある \(\displaystyle w \) は、加重平均資本コスト率 \(\displaystyle WACC \) の略号です。

上記【資料5】 (3) 式の積分を実行すると、次の【資料6】になります。
【資料6】
\[\displaystyle F(w)= \frac{\ln D - \ln (D + E)}{(1-t) \cdot r_{d}} + \frac{\ln E - \ln (D + E)}{r_{e}} + C \]

上記【資料6】は原始関数ですから、【資料3】(4) の極値を求めることができます。

それに対し、【資料2】の \(\displaystyle WACC \) は導関数ですから、極値を求めることができません。


さて、あとひと仕事。

上記【資料5】の方程式は、どのような形状を描くのか。
これは次の拙著201ページ〔図表31-6〕に掲載しています。
会計&ファイナンスのための数学入門
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上記【資料5】の方程式や、上掲書に掲載している図表は、私のオリジナルです。

日本だけでなく、欧米の専門書や学術論文を探しても、これらと同じ方程式や図表は存在しません。

なぜなら、【資料3】(10) にある通り、日本だけでなく欧米の学者や実務家の誰一人として、加重平均資本コスト率 \(\displaystyle WACC \) を積分する解法を示していないからです。

加重平均資本コストや企業価値などで、「阿倍野の犬実験」を繰り返している人たちを見ていると、ヘソで茶を沸かしてしまう今日この頃です。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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