会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
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『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
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『有償支給取引と循環取引に内在する
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:減損処理に追われる企業の性格を分析する

<<   作成日時 : 2017/11/14 01:00   >>

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減損処理に追われる企業の性格を分析する


次の関連記事では、M&Aで失敗して、巨額の減損処理に追われる企業を扱いました。
【資料1:関連記事】

M&Aでなくても、減損の恐怖は襲いかかります。
新規投資や更新投資などで。

ふと考えたのは、減損の本質って何だろうか、ということ。
減損って、企業会計審議会『原価計算基準』にある「操業度差異」と、その本質が同じなのではないだろうか、ということ。

『原価計算基準』だけでなく、それを基礎にした原価計算システムやコスト管理方法など(以下、原価計算制度といいます)には、「理論上の瑕疵がある」というのが、私(高田直芳)の持論です。

その概要は、次の関連記事で説明しました。
【資料2:関連記事】

企業のコスト構造は「無限の複利計算構造」を内蔵しているにもかかわらず、現行の原価計算制度はそれを単利計算構造で解き明かそうとしています。

企業のコスト構造に、単利計算構造を当てはめた場合、次の関連記事で説明したように、「固定費の過小評価問題」が発生します。
【資料3:関連記事】

固定費を過小評価すると、どのような問題が生ずるのか。
上記【資料2:関連記事】で説明したように、正体不明の巨額の操業度差異を抱える企業が続出するのです。


例えば、社内を見渡せば、現実の企業活動や経済現象では、次の【資料4】に示す事実を観察することができるはずです。
【資料4】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。

    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。

    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。

    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。

    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。

    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。

    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。

    • 入金と出金を無限回数で繰り返すその様は、無限で連鎖する複利計算を行なっていることと同じです。
  • 株式市場や仮想通貨市場を観察してみてください。

    • 人気が沸騰すればするほど、限りなくゼロに近い時間軸の中で、膨大な数の取引が行なわれます。

    • 買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶその経済現象は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • マクロ経済の産業連関表を観察してみてください。

    • ある産業で生産された中間財は次の産業へ投入され、そこで生産された中間財は次の産業へと投入されていきます。

    • その流れは、マクロ経済レベルで、無限回数の複利計算を行なっていくことと同じです。

すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。

それに対し、現行の原価計算制度は、1次関数の単利計算構造で構築されています。

原価計算制度に、そうした「理論上の瑕疵」があることを、次の受賞論文25ページ目で、「製造間接費配賦の異常現象」として説明しています。
【資料5】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

改めて述べますが、無限の複利計算構造を内蔵する企業活動を、単利計算構造で解き明かすのは、愚の骨頂なのです。


上で述べたのは、固定費の過小評価に関する問題でした。

巨額の減損が発生する原因のもう1つに、収益に対する過大評価の問題があります。
これにも、原価計算制度が関わります。

例えば、実現可能な操業度が、100 であったとしましょう。

ところが、似非コンサルタントが、「いえいえ、御社では、120 まではいけますよ」というM&Aレポートを、クライアント企業に対して提案したとします。
これを「机上の理論操業度」と呼ぶことにします。

原価計算制度に疎い企業は、コンサルタントの言を信じて、120 でM&Aを実行しました。


ところが、実際の操業度は、70どまり。
実現可能操業度( 100 )から見れば、実際の操業度率は 70%ですから、まずまず問題ないはず。

ところが、「机上の理論操業度 120 」から見下ろした場合、実際の操業度率は 58%程度です。
これに、固定費の過小評価問題が、相乗効果として加わった場合、実際の操業度率は、あっさり 50%を割ることでしょう。

だから、減損処理に追われるのです。


似非コンサルタントのレポートには、次の計算手法が展開されていなかったですか。
【資料6】
  • 正味現在価値法(NPV)
  • 回収期間法
  • 内部利益率法(IRR)
  • 投下資本利益率法(ROI)
  • ディスカウント・キャッシュフロー法(DCF)

上記【資料6】の本質は、単利計算構造であることを理解していますか。

「そのようなことはない。NPVやDCFなどは、複利計算だぞ」という主張は、これまた愚の骨頂としかいいようがない。

NPVなどは、複利は複利でも、「無限連鎖の複利計算」ではなく、「とびとびの複利計算」です。
ある期から次の期まで「飛んで」いる間は、単調な単利計算構造になっていることを、お見逃しなく。

これがM&Aで、高値づかみとなる理由です。

こうした「理論上の瑕疵」を理解していないからこそ、M&Aだけでなく、新規投資や更新投資などで減損を余儀なくされるのでしょう。


いや、待てよ。

そもそも、原価計算制度でさえ、まともに理解していない企業が多いのではないか。
「操業度差異って何だ?!」と首を傾げるヤカラばかりかも。
「理論上の瑕疵」を理解しているかどうか以前の問題だ。

だから、フツ〜に、減損処理を余儀なくされるのか。
なるほど、そういうことですか。
〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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