会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:管理会計の粉飾に平然と手を染める者たちがいる

<<   作成日時 : 2018/02/02 01:00   >>

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管理会計の粉飾に平然と
手を染める者たちがいる



1つ会社の屋根の下で複数の事業部を展開するにしろ、ホールディングスの下で複数の子会社を展開するにしろ、これらで共通して用いられる業績評価の道具に、セグメント別の直接原価計算制度があります。

用語の混乱を避けるためには、直接原価よりも、変動原価のほうが望ましいのですが、以下では、直接原価の名称を用いることにします。

「直接原価計算(変動原価計算)って、何?」という人は、次の拙著の第15章や第16章を参照。
決定版
ほんとうにわかる管理会計&戦略会計

高田直芳〔PHP研究所〕
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変動原価と変動費とは似た概念ですが、直接原価と直接費とは似て非なる概念であることを、上掲書『ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』ですでに確認していることを前提に、以下の説明をしていきます。


上掲書『ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』の初版は、2004年。

当時はまだ、単利計算構造の損益分岐点分析(CVP分析)を基礎として、セグメント別の直接原価計算を論じていました。

企業活動の本質が、次の【資料1】で示すように、無限の複利計算構造にあることに気がついたのは、上掲書『ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』を出版した後です。
【資料1】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。

    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。

    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。

    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。

    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。

    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。

    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。

    • 入金と出金を無限回数で繰り返すその様は、無限で連鎖する複利計算を行なっていることと同じです。
  • 株式市場や仮想通貨市場を観察してみてください。

    • 人気が沸騰すればするほど、限りなくゼロに近い時間軸の中で、膨大な数の取引が行なわれます。

    • 買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶその経済現象は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • マクロ経済の産業連関表を観察してみてください。

    • ある産業で生産された中間財は次の産業へ投入され、そこで生産された中間財は次の産業へと投入されていきます。

    • その流れは、マクロ経済レベルで、無限回数の複利計算を行なっていくことと同じです。

すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。

上記【資料1】の視点から、いま、上掲書『ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』の第15章と第16章を読み返すと、穴があったら入りたいほど、恥ずかしい。


救いがあるとしたら、次の受賞論文で、「企業活動の本質は複利計算構造にあり」と論じたものを前提に、上掲書『ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』の第15章などを読み返しても、それほど違和感がないことです。
【資料2】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

逆に、現在でも、損益分岐点分析と直接原価計算制度とをセットにして論じている人たちを見ていると、「会計の退廃」を痛感するのであります。


考えてみて欲しい。

例えば、正社員のみで構成されるA社と、派遣社員のみで構成されるB社があったとします。

A社について、損益分岐点分析から直接原価計算制度へ展開した場合、人件費のほとんどは固定費となります。
なぜなら、損益分岐点分析を搭載した会計情報システムは、正社員の給与手当を、固定費として扱うからです。

一方、B社について、損益分岐点分析から直接原価計算制度へ展開した場合、人件費のほとんどは変動費となります。
なぜなら、損益分岐点分析を搭載した会計情報システムは、派遣費用は外部委託費に属し、外注加工費と並んで変動費として扱うからです。


「いや、わが社(A社)では、人件費の中味を精査し、変動費率30%、固定費率70%で按分しているぞ」

「わが社(B社)だって、外部委託費の中味について精査し、変動費率60%、固定費率40%で按分しているぞ」

A社もB社も、会計情報システムの中で、費目別に、変動費と固定費とを按分しているというわけです。
【資料3】

損益分岐点分析を採用している会計情報システムでは、人件費や経費についてその中味を精査する窓を設け、その窓に変動費率と固定費率とを入力する仕組みになっています。

これを、費目別精査法に基づく科目比率法、または費目別精査法に基づく科目案分(按分)法といいます。

損益分岐点分析を上位概念とするならば、費目別精査法は中位概念であり、科目比率法や科目案分法は下位概念になります。

この仕組みの最大の欠点は、何だかわかりますか。
変動費率や固定費率を設定・変更するに際し、経営者や幹部たちにとって都合のいい、意図的な操作を行なうことができる点です。

これを「管理会計の粉飾」といいます。

恣意性にまみれた損益分岐点に基づいて編成された直接原価計算制度も、それに基づいて設計されるセグメント別損益管理も、結局は、本社企画部あたりが「鉛筆なめなめ」で数字をでっち上げたものにすぎないということさ。


私は上掲書『ほんとうにわかる管理会計&戦略会計』を出版した直後に、【資料1】に気がついて、おのれの不明を恥じ、矢野健太郎博士の書籍を買い漁りました。

その成果が、【資料2】の受賞論文です。


いまだに、書籍やセミナーなどで、損益分岐点分析(CVP分析)を得意気に振りかざす者たちよ。
そして、それに基づく直接原価計算制度を悪用し、「管理会計の粉飾」に手を染める者たちよ。

あなたがたみたいに「創造と革新」を怠る者がいるから、会計はいまだに、他の学問から見下されるのだ。
【資料4】

管理会計をこれ以上、愚弄するのはやめてくれ。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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