会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
会計物理学&会計雑学講座
Accountphysics & Accounting Trivia
© 2015 TAKADA Naoyoshi & CPA FACTORY Co.,Ltd.
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:損益分岐点分析しか語れぬ連中に偉そうなことを言われたくない

<<   作成日時 : 2018/02/17 01:00   >>

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損益分岐点分析しか語れぬ連中に
偉そうなことを言われたくない



個人的な感想として、高校時代に学ぶ教科で、数学ほど「退屈なもの」はなかった。

教科書に書かれてあることは、抽象論ばかりだし、答えは1つしかなく、その1つに辿り着けなければ零点だし。
なにより、社会に出てから、高校のときに習った数学が、役に立った例しがない。

文系人間には、小学校の算数の知識だけで、実社会で十分に通用してしまう。
そういう親の姿を見ているから、子はますます数学が嫌いになる。

それは違うぞ、文系であっても会計の世界では役立つぞ、という気概で始めたのが、このブログで展開している会計物理学の世界。

確定申告の季節に差し掛かるこの時期に、ようやく、次の書籍の前半(数V)までを読み終えました。
後半(数C)に挑むのは、桜が咲く季節になってからでしょう。

数研出版のチャート式は、受験参考書の中でもトップクラスの、コテコテの書籍であり、高校を卒業したオトナが、再び手に取ることはありません。


でもね、機会があったら、上掲の青チャートを手にとって欲しい。
新課程の「数V」ではなく、改訂前の「数V+C」の青チャートです。

この参考書の前半には、数Vの演習問題が、386問、収録されています。
後半には、数Cの演習問題が、202問、収録されています。

私が先日、欣喜雀躍したのは、数Vの386問目にある最終問題。
次の問題が掲載されていました。
【資料1】『チャート式数V+C』271ページ〔演習問題386〕

ラジウムなどの放射性物質は、各瞬間の質量に比例する速度で、質量が減少していく。

その比例定数を \(\displaystyle \large k (k>0) \) 、最初の質量を \(\displaystyle \large A \) として、質量 \(\displaystyle \large x \) を時間 \(\displaystyle \large t \) の関数で表わせ。


上記【資料1】は、放射性同位体の半減期を問う、物理学の問題です。

この、放射性同位体を解く問題が、大正9年(1920年)以降、惰眠を貪る管理会計や原価計算制度に応用できるのだから、これほど面白いものはない。
【資料2:関連記事】

すなわち、次の受賞論文3ページ〔図表3〕に掲載している「タカダ式費用関数」に、【資料1】の解法を応用できるのです。
【資料3】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

数学を学ぶこと自体を目的とするのではなく、ずっと先のほうに大きな目標を見つけると、無味乾燥な数学の教科書が、俄然、輝いてみえてきます。

どれほど輝くものであるかを、以下でご覧に入れましょう。


まず、上記【資料1】の解答編286ページに掲載されている解法の一部を、次の【資料4】に掲載します。
箇条書きのカッコ付きのアルファベットは、私の追加編集です。
【資料4】『チャート式数V+C』回答編286ページ
(A) 時間 \(\displaystyle \large t \) における質量の変化する速度は \(\displaystyle \large \frac{dx}{dt} \)
(B) 条件から、\(\displaystyle \large \frac{dx}{dt}=-kx \) と表わされる。
(C) 質量 \(\displaystyle \large x \) については \(\displaystyle \large x>0 \) であるから、\(\displaystyle \large \frac{1}{x} \cdot \frac{dx}{dt} =-k \)
(D) ゆえに \(\displaystyle \large \int \frac{1}{x} \cdot \frac{dx}{dt} dt =-k \int dt \)
(E) 左辺に置換積分法の公式を用いて、\(\displaystyle \large \int \frac{dx}{x}=-k \int dt \)
(F) よって \(\displaystyle \large \log|x| = -kt+C \) ( \(\displaystyle \large C \) は任意定数)

(G) ゆえに \(\displaystyle \large x= \pm e^{-kt+C} \)

(H) すなわち \(\displaystyle \large x= \pm e^{C} \cdot e^{-kt} \)

(I) \(\displaystyle \large t=0 \) のとき、\(\displaystyle \large x=A \) であるから \(\displaystyle \large \pm e^{C}=A \)

(J) したがって \(\displaystyle \large x=A \cdot e^{-kt} \)

上記【資料4】(B) にある「条件」とは、【資料1】にある「各瞬間の質量に比例する速度で、質量が減少していく」ことです。
質量 \(\displaystyle \large x \) が \(\displaystyle \large k \) に比例して減少(マイナス)していく条件が与えられているのですから、\(\displaystyle \large -kx \) と表わされます。

上記【資料4】(B) を、変数分離型または変数分離形といいます。
名前の由来は、(B) の式が、機械的に、その下にある (C) の式に変形できるからです。

変数分離形については、上掲の青チャート267ページで説明されていますし、次の関連記事でも説明しました。
【資料5:関連記事】

【資料4】(B) は変数分離形ですから、その下の (C) で左辺に変数 \(\displaystyle \large x \) を集めています。

上記【資料4】(D) は、両辺に \(\displaystyle \large \int \) を付けたもの。

上記【資料4】(E) にある置換積分法とは、積分できる形に置き換えることをいいます。

上記【資料4】(E) の左辺にある \(\displaystyle \large \int \frac{dx}{x} \) が、なぜ、(F) の左辺 \(\displaystyle \large \log|x| \) になるのかについては、青チャート91ページで鮮やかに証明されています。

なお、理学系では、\(\displaystyle \large \log_{e} x \) を \(\displaystyle \large \log x \) と略記します。
工学系では、\(\displaystyle \large \ln \) と略記します。

上記【資料4】(G) 以下は、指数関数を変形しただけの話。


上記【資料4】は、放射性同位体の半減期を求めるための解法です。
この解法が、【資料3】の受賞論文にあるタカダ式費用関数と、どう繋がるのか。

タカダ式費用関数は、次の形で表わされます。
【資料6】\[\displaystyle \large y=b \cdot e^{tx} \]

上記【資料6】と、【資料4】(J) とは、よく似ています。
大きく異なるのは、正符号か、負符号か、だけ。

放射性同位体は、時間 \(\displaystyle \large t \) とともに、質量 \(\displaystyle \large x \) が減少するので、比例定数 \(\displaystyle \large k \) の頭に、マイナスを付けます。

一方、タカダ式費用関数は、売上高 \(\displaystyle \large x \) とともに、コストが増加するので、比例定数 \(\displaystyle \large t \) はプラスになります。

上記【資料4】にある「マイナスの \(\displaystyle \large k \) 」を、「プラスの \(\displaystyle \large t \) 」に置き換えれば、【資料6】のタカダ式費用関数の導出方法に繋がります。


上記【資料1】にある「最初の質量 \(\displaystyle \large A \) 」を、初期条件といいます。
変数がゼロのときにとる値のことです。

上記【資料6】の初期条件は、\(\displaystyle \large b \) になります。
これは、いわゆる固定費のこと。
売上高がゼロであっても、固定費だけは発生します。


専門的な表現をするならば、【資料4】(J) を減衰関数といい、【資料6】を増殖関数といいます。

両者に共通しているのは、「自然対数の底 \(\displaystyle \large e \) 」を含んでいること。
この \(\displaystyle \large e \) は、複利機能をもった超越数です。


ラジウムが複利的に減衰していくのは、物理現象として観察することができます。

では、タカダ式費用関数の基礎となる、企業活動はどうなのか。
現実の企業活動や経済現象では、次の【資料7】に示す事実を観察することができます。
【資料7】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。

    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。

    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。

    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。

    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。

    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。

    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。

    • 入金と出金を無限回数で繰り返すその様は、無限で連鎖する複利計算を行なっていることと同じです。
  • 株式市場や仮想通貨市場を観察してみてください。

    • 人気が沸騰すればするほど、限りなくゼロに近い時間軸の中で、膨大な数の取引が行なわれます。

    • 買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶその経済現象は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • マクロ経済の産業連関表を観察してみてください。

    • ある産業で生産された中間財は次の産業へ投入され、そこで生産された中間財は次の産業へと投入されていきます。

    • その流れは、マクロ経済レベルで、無限回数の複利計算を行なっていくことと同じです。

すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。

複利計算構造を備えているのは、物理現象だけではないのです。


特に、タカダ式費用関数の特徴を、2つほど挙げておきます。

1つめは、【資料6】にあるとおり、複利計算構造に基づいた関数形で表記できること。

2つめは、なぜ複利なのか、という問いに、【資料7】の観察事実をもって答えられること。


現代の管理会計は、損益分岐点分析(CVP分析)で代表されるように、1次関数( \(\displaystyle \large y=ax+b \) )に基づいています。

これを導出するにあたっては、小学生の算数で足りてしまう。
数Vや数Cを学ぶ必要性を感じているオトナは、1人もいない。

また、なぜ、1次関数を用いるのか、という問いに答えられるオトナもいない。
あなたがたのパパやママは、そういう世界で生きていることを理解しましょう。


確定申告の季節を乗り越えて、監査の季節を無事に終えたら、次は数Cの行列に取り組む予定でいます。

会計に、なぜ、行列が必要なのか。
目先の話としては、テンソル解析を理解したいから。

遠くの話としては、管理会計論や原価計算制度に役立ちそうな方程式があることを、いまはまだ直感ですが、見つけてしまったから。

数学者や物理学者が、会計を学ぶ動機は乏しい。
しかし、公認会計士である私が、物理学を学ぶ動機は大きいものがあります。


数学を学ぶのは、今でも砂を噛む気分。
しかし、その先に、大きな目標があるから取り組める。
うまく図南の翼に乗れればいいなと、考えています。

書籍や講義などで管理会計などを得意気に語っている人たちを見ていると、「何を偉そうに」とニヤニヤ。
実務家である私には、論文発表する場がないので、自分さえ楽しければそれでいい、という話。

おっと、その前に、山積みとなった確定申告書を片付けなくては。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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