会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
会計物理学&会計雑学講座
Accountphysics & Accounting Trivia
© 2015 TAKADA Naoyoshi & CPA FACTORY Co.,Ltd.
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
上記研究大会のパワーポイント資料は、こちら。
関東信越税理士界『論陣』掲載論文(PDF 3枚)
『有償支給取引と循環取引に内在する
 税務リスクについて』
執筆者 高田 直芳

zoom RSS 公認会計士高田直芳:人工知能AIをもってしても会計不正や粉飾決算が見抜けない理由

<<   作成日時 : 2018/04/26 01:00   >>

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人工知能AIをもってしても
会計不正や粉飾決算が見抜けない理由



次の関連記事では、東芝の会計不正を見抜けなかった関係者の後悔の弁を紹介しました。
【資料1:関連記事】

現在でも「人工知能AIが、もっと発達すれば……」と考えている人はいるのでしょうか。

もし、いるのだとしたら、それは虚しい期待に終わります。

仕訳をはじめとする会計データや、工数管理をはじめとする生産管理データなどは、それらがビッグデータとして集積すればするほど、クセというか、一定の規則性を持つようになります。

例えば、次の関連記事では、「結果的に予実差額がゼロとなるケースと、意図的に予実差額をゼロとするケースとを、それぞれ見分けるための数学的な手法」があることを述べました。
【資料2:関連記事】

上記【資料2】は、同じゼロでも、そこに至るプロセスにクセがあることに起因します。

また、次の受賞論文で述べたタカダ式操業度分析は、企業活動に複利計算構造があることを見抜いたものでした。
【資料3】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

企業活動に内蔵する複利計算構造とは何か。
具体的には、次の事実から観測することができます。
【資料4】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。

    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。

    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。

    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。

    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。

    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。

    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。

    • 入金と出金を無限回数で繰り返すその様は、無限で連鎖する複利計算を行なっていることと同じです。
  • 株式市場や仮想通貨市場を観察してみてください。

    • 人気が沸騰すればするほど、限りなくゼロに近い時間軸の中で、膨大な数の取引が行なわれます。

    • 買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶその経済現象は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • マクロ経済の産業連関表を観察してみてください。

    • ある産業で生産された中間財は次の産業へ投入され、そこで生産された中間財は次の産業へと投入されていきます。

    • その流れは、マクロ経済レベルで、無限回数の複利計算を行なっていくことと同じです。

すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。
これもまた、複利というクセがあるからです。

損益分岐点分析で固定費がマイナスになったり、増収減益や減収増益を図解できなかったり、量産効果を解き明かせなかったりするのは、会計データに潜むクセを見抜けない者が陥る隘路です。
【資料5】

冒頭の話に戻すと、会計不正や粉飾決算にも、相応のクセがあります。

ところが、厄介なのは、このクセが一定の規則性を持っているので、それが却って、会計不正を発見しようとする人工知能AIの解析能力を戸惑わせることになるのです。

その規則性とは何か。

会計データや生産管理データというのは、そのデータ数が多くなればなるほど、次の値 \(\displaystyle \large k \) に収まるクセがあるようです。
【資料6】\[\displaystyle \large \frac{x \sqrt{b}}{a}=k \]

月次決算の場合を考えます。
例えば、睦月から師走までを記した12枚の札を、テーブル上に配ります。

その12枚の札を解析した結果を【資料6】の左辺に代入すると、右辺の値 \(\displaystyle \large k \) に収まります。

【資料6】の左辺にある \(\displaystyle \large a \) と \(\displaystyle \large b \) は、個々の企業ごとに導き出される値であり、\(\displaystyle \large x \) は当該企業から得られる財務会計や生産管理に係る変数です。
\(\displaystyle \large x \) に代入する数値は、金額だけでなく、数量や時間もOKです。


会計不正は毎月、行なわれるものではありません。
例えば、弥生の月に集中的に行なわれたとしましょう。

その場合、他の11か月のデータに比べ、会計不正が行なわれた弥生の月だけは突出するはず。
ところが、この場合でも、上記【資料6】の値 \(\displaystyle \large k \) の中に収まってしまうのです。


上記【資料6】の式は、会計不正や粉飾決算を発見する式ではなく、それらを発見することが困難であることを証明する式である点に注意してください。

アクルーアルなどという、根拠のない話とはまったく異なります。
【資料7】

会計不正があっても、なくても、【資料6】の値 \(\displaystyle \large k \) に収まってしまう。
上記【資料6】の式は、単純ながら、かなり強力。

生真面目な人工知能AIほど、戸惑うことでしょう。
人智の赴くところは、人工知能AIでも御しがたい、といったところか。


本来、上記の話は学術論文などにまとめて、正確を期すべきなのでしょう。

ただし、私は実務家なので、論文をまとめている時間がないですし、そうした論文を公表する機会もありません。
上記【資料3】の受賞論文は、運に恵まれただけのこと。

そもそも、会計の世界に、物理学や数学を持ち込んだところで、それを理解できる人は皆無。
そこが一番の問題だ。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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