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『会計学と原価計算の革新を目指して』
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:仮想通貨市場の超過利潤とかぼちゃの馬車の地代家賃

<<   作成日時 : 2018/04/28 01:00   >>

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仮想通貨市場の超過利潤と
かぼちゃの馬車の地代家賃



今回はタイトルにもある通り、仮想通貨市場の話に始まり、かぼちゃの馬車事件の話までを取り上げます。

さて、2018年4月27日付の日本経済新聞では、次の記事が掲載されていました。
【資料1】日本経済新聞2018年4月27日

営業利益率は破格の86%――。マネックスグループは26日の決算発表で、16日に買収を完了した仮想通貨交換業者コインチェック(東京・渋谷)の2018年3月期業績(概算値)を公表した。(略)

1月に流出した仮想通貨NEM(ネム)についてコインチェックは約460億円の補償を終えた。

騒動当初は「新興勢力のコインチェックに巨額の資金を返済する能力はない」との見方が大半だった。だが今回、投資家の見立てをはるかに上回る利益を稼いでいたことが裏付けられた。


上掲記事で注目すべきは「460億円」という金額と、「投資家の見立てをはるかに上回る利益を稼いでいた」こと。
これって一体、何?

ヒントとなるのは、上掲記事の2週間ほど前に掲載されていた次の記事。
【資料2】日経産業新聞「眼光紙背」2018年4月11日

コインチェックはハッカーに奪われた価値の8割にあたる460億円を全て現金で被害者に補償し度肝を抜いた。

これは昨年の空前の仮想通貨ブームで過剰な超過利潤(レント)が一時的に発生していたからできた芸当にすぎない。


超過利潤(レント)というのは、現代の経済学では死語に近い。

手元にある経済学書の巻末索引を参照したところ、「超過利潤」という語は見当たらず、「レント」という表現で唯一、次の書籍に掲載されていました。
スティグリッツ ミクロ経済学
ジョセフ・E. スティグリッツ

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スティグリッツ ミクロ経済学(第4版) (スティグリッツ経済学シリーズ) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

『スティグリッツ ミクロ経済学』212ページでは、レント(超過利潤)を次のように説明しています。
【資料3】『スティグリッツ ミクロ経済学』212ページ

経済的レントは、もともとは小作人が耕作地を利用するとき地主に支払う報酬(レント、地代)という意味で用いられてきたが、今日ではもっと幅広い意味で使われている。


それに続いて、レントの特徴として「土地に高いレントを支払っても、その供給量を増加させることができない」(上掲書212ページ)とあります。

なるほど、仮想通貨は土地と同じでその供給量に上限があるから、コインチェックに巨額のレント(超過利潤)が発生したわけだ。


『スティグリッツ ミクロ経済学』212〜213ページでは、機会費用や平均費用の概念を用いて、レント(超過利潤)が巨額になる理由を説明しています。

なお、機会費用については、次の関連記事を参照。
【資料4:関連記事】
  1. 超過利潤と、機会費用と、減損処理と、機会損失と
  2. 機会損失と得べかりし利益 定性分析と定量分析
  3. 続・市場の失敗とオプジーボ
  4. 内製が得か、外注やM&Aが得か〜固定費の変動費化問題〜
  5. 事業臨界点ではなく機会費用ゼロ点

超過利潤や機会費用に関して、『スティグリッツ ミクロ経済学』213ページでは、「レントは●●とは無関係」であり、「レントの額は完全に▲▲だけで決まる」と指摘しています。

●●と▲▲の箇所については、各自で『スティグリッツ ミクロ経済学』213ページを参照してください。

コインチェックが、なぜ、巨額の利潤を溜めこむことができたのか、その理由に大きく肯くことができます。


次に、平均費用に注目します。

『スティグリッツ ミクロ経済学』213ページでは、平均費用によってレント(超過利潤)が発生する仕組みを紹介しています。
【資料5】『スティグリッツ ミクロ経済学』213ページ

企業の中には、他社よりも効率的で平均費用曲線が低い企業もあるだろう。

そこで、効率性が高い1社を除いたその他のすべての企業が同一の平均費用曲線を持ち、市場価格はそれらの企業の平均費用の最小値に等しくなっている場合を考えよう。


上記の「効率性が高い1社」を、「A社」とします。
A社を除いた「他のすべての企業」を、「同業他社群」とします。

同業他社群は競い合う状態にあるので、同業他社群の平均費用は、市場価格と等しく、同業他社群のレント(超過利潤)はゼロです。

それに対し、A社は、市場価格よりも低い平均費用で販売できるので、市場価格と平均費用の差額が、A社のレント(超過利潤)になります。

む、むずかしい。


経済学書というのは、わかりにくい。
図解して説明できる方法はないものか。

残念ながら、現代の経済学や会計学のノウハウでは、レント(超過利潤)を図解して説明ですることは不可能です。

ただし、次の受賞論文で説明している「タカダ式操業度分析」では、それが可能です。
【資料6】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記【資料6】にあるタカダ式操業度分析を、少し手直ししたものを、上記【資料4:関連記事】の「5. 事業臨界点ではなく機会費用ゼロ点」に掲載しています。

それを次の【資料7】に再掲します。
【資料7】
画像

上記【資料7】において、左下の原点Oから右上がりで伸び、かつ黒色で描かれている直線の、その傾きが、市場価格になります。
同業他社群の費用曲線は、緑色の曲線です。

上記【資料5】では、「市場価格はそれらの企業の平均費用の最小値に等しくなっている場合」という記述がありました。
上記【資料7】で説明すると、黒色の直線と緑色の曲線とが、点S(機会費用ゼロ点)で接しているところを指しています。

これが、同業他社群の超過利潤(レント)がゼロになる状態です。


それに対し、A社の平均費用曲線は、【資料7】では赤色の曲線で描かれています。

この赤色の平均費用曲線の一部が、黒色の直線よりも低いところにあります。
上記【資料5】にあった「企業の中には、他社よりも効率的で平均費用曲線が低い企業もあるだろう」という記述と附合します。

赤色の平均費用曲線が、黒色の直線を下回っている部分が、A社の超過利潤(レント)を表します。

コインチェックがためこんだ460億円というのは、赤色の平均費用曲線と黒色の直線とに囲まれた面積部分(上弦の月)に相当するのでした。


上記【資料7】の図をみて、「なるほどぉ〜」と簡単に肯いてもらっては困ります。
なぜなら、古今東西、日本だけでなく欧米の経済学者や会計学者がよってたかっても、【資料7】と同じ作図はできないのですから。

上記【資料7】は、私(高田直芳)のオリジナルです。


上記【資料7】で描かれている緑色や赤色の曲線は、複利関数で描かれています。

それに対し、スティグリッツ教授をはじめとする経済学者は、平均費用曲線を、2次関数または3次関数で描きます。
会計学者は、平均費用曲線を、1次関数の直線で描きます。

「1次・2次・3次」と、「複利」とは、似て非なるもの。
世界中の経済学者や会計学者を大向こうに回して論じているのが、【資料6】の受賞論文になります。
【資料8:関連記事】

上記【資料7】を定量分析といい、言葉だけを操る【資料5】を、定性分析といいます。
【資料9:関連記事】

ノーベル経済学賞のスティグリッツ教授を相手に、なんという暴言。

しかしながら、2次関数や3次関数を用いる経済学では、超過利潤を定量的に分析することはできません。
現実の企業活動を図解できず、それを具体的な数値で解析できない学問は、画に描いた餅なのです。


最後に、かぼちゃの馬車事件にまつわる話。
【資料10】日本経済新聞2018年4月19日

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社スマートデイズ(東京・中央)は18日、東京地裁から民事再生法の適用申請を棄却された。今後破産手続きに移行する。(略)

年収1000万円の会社員であれば、土地・建物の代金は1億2000万円――。こんな具合に、年収に応じて売却価格を決めていた。

投資利回りが8〜9%になるように、周辺相場とはかけ離れた家賃を設定。高い利回りによる一括の借り上げを所有者に約束した。


『スティグリッツ ミクロ経済学』213ページでは、レント(超過利潤)にまつわる話のオチとして、ビルの所有者が受け取るレントを取り上げ、これは「経済学の定義からすると、真の意味でのレントではない」としています。


いまはゼロ金利の時代。
かぼちゃの馬車で、シンデレラは、8%〜9%のレント(超過利潤)を夢見たのかも知れません。

しかし、経済学の定義からすれば、それはレントではなかった。
破綻するのは目に見えていた。
これは、定性分析であろうと定量分析であろうと、変わらない事実。

見えているにもかかわらず、素人が、レント(超過利潤)を見極めるのは難しい。
それを証明してくれたのが、今回の事件でした。
〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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