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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
上記研究大会のパワーポイント資料は、こちら。
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『有償支給取引と循環取引に内在する
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執筆者 高田 直芳

zoom RSS 公認会計士高田直芳:準ニュートン法は損益操業度点と収益上限点のどちらに転ぶか

<<   作成日時 : 2018/05/22 01:00   >>

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準ニュートン法は損益操業度点
と収益上限点のどちらに転ぶか



次の関連記事では、タカダ式操業度分析で「黒字と赤字の分水嶺」となる2つの点、すなわち、損益操業度点と収益上限点それぞれを求めるための一般公式を提示しました。
【資料1:関連記事】

上記【資料1】で提示した一般公式は、次の通り。
【資料2】損益操業度売上高と収益上限点売上高の一般公式\[\displaystyle \left( \begin{array}{l} 損益操業度売上 \\ 高の一般公式 \\ \end{array} \right) \large = \alpha_x -\frac{f(x)}{f'(x)} \tag{1} \] \[\displaystyle \left( \begin{array}{l} 収益上限点売上 \\ 高の一般公式 \\ \end{array} \right) \large = \beta_x -\frac{f(x)}{f'(x)} \tag{2} \]

上記【資料2】それぞれを、ニュートン法(または準ニュートン法)に当てはめれば、損益操業度点や収益上限点の実務解を求めることができます。

ここで、ふと浮かんだ疑問点が、いくつかあります。
上記【資料2】にある2つの近似解、\(\displaystyle \large \alpha_x \) と \(\displaystyle \large \beta_x \) の大小関係は、どうなっているのか。

もし、常に \(\displaystyle \large \alpha_x \lt \beta_x \) が成り立つのであれば、【資料2】にある2本の式は、1本の不等式でまとめられるのではないか。


次の受賞論文では、予算係数を \(\displaystyle \large t \) とし、その逆数である予算操業度売上高を \(\displaystyle \large a \) と定義しました。
【資料3】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記の受賞論文では、費用関数を \(\displaystyle \large f(x)=b \cdot e^{tx} \) としているので、この費用関数を【資料2】の式にそれぞれ代入すると、次の特殊解を導き出すことができます。
【資料4】損益操業度売上高と収益上限点売上高の特殊解\[\displaystyle \left( \begin{array}{l} 損益操業度売 \\ 上高の特殊解 \\ \end{array} \right) \large = \alpha_x -a \tag{1} \] \[\displaystyle \left( \begin{array}{l} 収益上限点売 \\ 上高の特殊解 \\ \end{array} \right) \large = \beta_x - a \tag{2} \]

上記【資料2】から【資料4】への展開は、進学校の高校1年生であれば、難なく解ける内容。

ここから下は、オトナが関わる実務の問題。


上記【資料4】は、何を意味するか。

上記【資料3】の受賞論文に掲載している図表を、次の【資料5】に再掲して、この問題を解決します。
【資料5】タカダ式操業度分析図表
画像

上記【資料5】において、点Cは予算操業度点であり、この点Cから垂線を下ろした点Jが予算操業度売上高であることを確認しておきます。


【資料5】で考えるべきことは、【資料2】にある \(\displaystyle \large \alpha_x \) や \(\displaystyle \large \beta_x \) のアタリ(目安や見当)を、どの辺に設定するのか、ということ。

例えば、\(\displaystyle \large \alpha_x \) や \(\displaystyle \large \beta_x \) に、予算操業度売上高(点C)や最大操業度売上高(点D)の実務解を代入して、ニュートン法(または準ニュートン法)を実行した場合、それは損益操業度売上高(点B)のほうへ下っていくのか、それとも収益上限点売上高(点E)のほうへ上っていくのか。


もう一度、上記【資料4】(1) にある \(\displaystyle \large \alpha_x \) を睨みます。
これは、損益操業度売上高を求めるために設定する近似解でした。

この近似解 \(\displaystyle \large \alpha_x \) は、【資料5】の損益操業度点(または損益操業度売上高)の周辺で、アタリを付けるもの。

すなわち、\(\displaystyle \large \alpha_x \) は確実に、予算操業度点(または予算操業度売上高)よりも左側に設定されることになります。

したがって、【資料4】(1) は、必ずマイナスになります。


一方、【資料4】(2) にある \(\displaystyle \large \beta_x \) は、予算操業度点(または予算操業度売上高)よりも右側で設定されるもの。

したがって、【資料4】(2) は、必ずプラスになります。


上記【資料1:関連記事】では、一般的な近似解を \(\displaystyle \large \alpha_0 \)(アルファゼロ)と定義しました。
この近似解を用いると、上記【資料4】は、次の定理として表わされます。
【資料6】タカダ式操業度分析の定理その1
  • ニュートン法または準ニュートン法により、2つの解を求める必要がある場合で

  • 近似解を、予算操業度点よりも小さく設定した(両者の差し引きがマイナスとなる)ときは、損益操業度点に辿り着く。

  • 近似解を、予算操業度点よりも大きく設定した(両者の差し引きがプラスとなる)ときは、収益上限点に辿り着く。

上記【資料6】を、不等式の形で表わすと、次の通りとなります。
【資料7】タカダ式操業度分析の定理その2
  • ニュートン法または準ニュートン法により、2つの解を求める必要がある場合で

  • \(\displaystyle \large \alpha_0 - a \lt 0 \) ならば
    この不等式は、損益操業度売上高の特殊解を表わす。

  • \(\displaystyle \large \alpha_0 - a \gt 0 \) ならば
    この不等式は、収益上限点売上高の特殊解を表わす。

当初、上記【資料5】のタカダ式操業度分析を編み出したとき、損益操業度売上高や収益上限点売上高を求めるための近似解を、どこに設定すればいいのか、迷うことがよくありました。

上記【資料6】や【資料7】の定理によれば、予算操業度売上高を目安にすればいいことがわかります。

特に【資料7】の定理により、1本の不等式によって特殊解を表わすことができるようになりました。


例えば、近似解 \(\displaystyle \large \alpha_0 \) を、原点近くに設定した場合、これは明らかに予算操業度売上高よりも左側にありますから、【資料7】の定理より、損益操業度売上高の実務解を求めることができます。
収益上限点まで登りつめることはありません。

近似解 \(\displaystyle \large \alpha_0 \) を、プラス \(\displaystyle \large \infty \) の彼方に設定した場合は、【資料7】の定理により、収益上限点売上高の実務解を求めることができます。
損益操業度点まで下ることはありません。

また、近似解 \(\displaystyle \large \alpha_0 \) を、最大操業度売上高あたりに設定した場合、これは予算操業度売上高よりも右側ですから、収益上限点売上高の実務解を求めることができます。


次の関連記事で紹介したように、虚数解の場合は、損益操業度点と収益上限点の、どちらに転がるか。
【資料8:関連記事】

虚数解の場合は、損益操業度点、予算操業度点、最大操業度点および収益上限点が重なり合って、1つの実務解を得ることができます。

以上から明らかなことは、予算操業度点(または予算操業度売上高)は、ニュートン法(または準ニュートン法)を利用するにあたっての、分水嶺となる指標だ、ということです。


理工系やファイナンス系では、準ニュートン法などが盛んに利用されています。

その分野にどれだけの数の専門家がいるかは知りませんが、【資料5】で中空に浮かぶ予算操業度点が、準ニュートン法の分水嶺になるんだぞ、と気づいている人は、誰一人としていない。

この程度の話が理解できなくて、もっとずっと先にある、タカダ式確率微分方程式の世界を、誰が理解できようか。
【資料9:関連記事】

話を付け加えると、【資料5】にある予算操業度売上高は、次の関連記事で説明したように「量産効果の底」にあたります。
【資料10:関連記事】

増収増益や減収減益にある企業は、実際の売上高が、予算操業度売上高よりも左側にあるので、損益操業度売上高の実務解を求めることに意義があります。

それに対し、減収増益や増収減益のジレンマに陥っている企業は、実際の売上高が予算操業度売上高よりも右側にあるので、収益上限点売上高の実務解を求めることに意義があります。

いや、減収増益や増収減益のジレンマを抱える業は、収益上限点売上高の実務解よりも、最大操業度売上高の実務解を求めるほうが、もっと意義が高いといえます。

なにしろ、【資料5】にある最大操業度点は、経済学でいうところの利潤最大条件(限界収入MR=限界費用MC)を満たすところなのだから。

そうした企業活動の成否を保証するのが、【資料6】や【資料7】の定理です。


一般公式、一般解、特殊解、実務解と、あれこれ用語が錯綜していますが、それほど難しい話をしているわけではありません。

こういう話をね、高校の数学で説明できてしまうのが、会計物理学の醍醐味でもあります。

中学生レベルの数学にとどまり、言葉を巧みに操って、観念的な理論に終始している人たちには、わからない世界でしょうけれど。
【資料11:関連記事】
〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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