会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
上記研究大会のパワーポイント資料は、こちら。
関東信越税理士界『論陣』掲載論文(PDF 3枚)
『有償支給取引と循環取引に内在する
 税務リスクについて』
執筆者 税理士 高田 直芳

zoom RSS 公認会計士高田直芳:循環取引を会計不正だと断罪する人々の得意顔に鼻白む

<<   作成日時 : 2018/06/06 01:00   >>

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循環取引を会計不正だと
断罪する人々の
得意顔に鼻白む



会計知のない人たちが、得意気になって語る話に、循環取引があります。
今回は、これを返り討ちにしてみましょう。

循環取引は通常、次の3社間で行なわれます。
矢印の向きが、商品の流れを表わします。
【資料1】3社間の循環取引
\(\displaystyle \large \begin{eqnarray} \overbrace{ \left( \begin{array}{c|c} \rm{A} & \mathbb{A} \\ 事 & 事 \\ 業 & 業 \\ 部 & 部 \\ \end{array}\right) }^{A社}
\longrightarrow
\overbrace{ \left( \begin{array}{c|c} \rm{B} & \mathbb{B} \\ 事 & 事 \\ 業 & 業 \\ 部 & 部 \\ \end{array}\right) }^{B社}\end{eqnarray}\)
\(\displaystyle \large \nwarrow \hspace{ 40pt } \swarrow \)
\(\displaystyle \large \begin{eqnarray}
\overbrace{ \left( \begin{array}{c|c} \rm{C} & \mathbb{C} \\ 事 & 事 \\ 業 & 業 \\ 部 & 部 \\ \end{array}\right) }^{C社}\end{eqnarray}\)

循環取引を、2社間で説明するものもあります。

ただし、2社間の取引では、循環取引だということがすぐにバレるし、2社間のやり取りでは「ぐるりと1回転する」循環の意味を持ちません。

2社間の循環取引についてはずっと下のほう(後半)で紹介するとして、話の前半は3社間の循環取引を扱います。


さて、上記【資料1】では、中抜きの「\(\displaystyle \large \mathbb{A} \)事業部」「\(\displaystyle \large \mathbb{B} \)事業部」「\(\displaystyle \large \mathbb{C} \)事業部」を、各社で循環取引を担う、秘密の専門部署とします。

中抜きではない事業部は、まっとうなビジネスを行なっている部署です。

第1段階は、A社の\(\displaystyle \large \mathbb{A} \)事業部から、B社の\(\displaystyle \large \mathbb{B} \)事業部へ、1千万円の商品を移送し、その対価としてB社からA社へ1千万円のキャッシュを支払います。


第2段階は、B社の\(\displaystyle \large \mathbb{B} \)事業部から、C社の\(\displaystyle \large \mathbb{C} \)事業部へ、第1段階のときの商品をそのまま移送し、その対価としてC社からB社へ1千万円のキャッシュを支払います。

循環取引を企てるときのポイントは、欲を出して利益を上乗せしたりせず、仕入高と売上高を同額計上することです。
税額をゼロとするための必要条件です。

税は、企業にとって最大の社外流出であり、これを抑えて内部留保を温存するのは、必須の措置です。
【資料2:関連記事】

第3段階は、C社の\(\displaystyle \large \mathbb{C} \)事業部から、A社の\(\displaystyle \large \mathbb{A} \)事業部へ、第2段階の商品をそのまま移送し、その対価としてA社からC社へ1千万円のキャッシュを支払います。

このとき注意すべきは、C社からA社へ商品を搬入する際、商品ラベルを貼り替えること。
怠りなきように。


上記の取引を30回ほど繰り返すと、A社・B社・C社それぞれで、1億円の売上高を計上することができます。

ニッポンでは、いまだに売上高至上主義を信奉している人が多いので、これはまさに濡れ手に粟。

循環取引に一度手を染めると、やめられなくなる理由がここにあります。


次は、経営分析の観点から


企業外部の分析者や取引銀行から「貴社の粗利益率が大幅に低下しており、業績悪化の懸念がある」と指摘される可能性が大いにあります。

A社の立場になってみます。

A社のA事業部は、薄利多売を強いられる低収益部門であるとします。
その業績に、利鞘のまったくない\(\displaystyle \large \mathbb{A} \)事業部を合算させたのでは、A社全体の粗利益率はさらに低下します。


ただし、低下するのは、百分率の指標である点に注意。

EBIT、EBITDA、EVAという「金額ベース」の独自指標を、外部の投資家や取引銀行に訴えれば、業績が悪化したようには見えません。


次の関連記事では、上場企業で独自の経営指標を開示するケースが増えていることを紹介しました。
【資料3:関連記事】

独自の経営指標に恣意性が加味されたのでは、手の施しようがないのですが、それは別の問題。

企業外部の分析者や取引銀行としては、A社が提示する独自指標を鵜呑みにせず、百分率の分析も必ず行なうようにしましょう。


資本回収点(資金回収点)も使いよう


A社の立場に戻ります。

企業外部の分析者や取引銀行から「やはり、粗利益率の低下には、何か裏があるはずだ」と、疑問を投げかけられたとき、A社はどう説明するか。

次の関連記事で説明した資本回収点(資金回収点)が役に立ちます。
【資料4:関連記事】

循環取引を手掛けると、資本回収点売上高(資金回収点売上高)は、劇的に「改善」します。

なんと、間抜けな指標であることか。

そんなことは、おくびにも出さず、分析者や取引銀行に対して「弊社の資本回収点売上高は、改善しています。どうだ、まいったか」という顔をしてやりましょう。


循環取引は必ず経営破綻を引き起こす


それから、もう一つ。

循環取引を行なう場合には、「しなければならない事前手続(事前作為手続)」と、「してはならない事後手続(事後不作為手続)」の2種類がある点に留意する必要があります。

「まっとうな取引」をしている場合は、これらの手続は意識されません。
ところが、循環取引を仕掛けようとするときは、事前と事後で留意しなければならない手続があります。

数多くの粉飾決算・会計不正の事例を調べ、元経営者などからヒアリングした過程で、独自に気づいたものです。


事前と事後でこれらの手続を怠ると、循環取引を始めてから3年ほどで、企業経営は破綻します。

逆にいえば、企業に循環取引を踏みとどまらせる安全装置になっている、といえます。

循環取引に手を染める者が、こうした手続を理解しているケースは稀です。
だから、循環取引は、確実に破綻するのです。


本ブログ(会計物理学&会計雑学講座)は、今回までで500本を超えます。
その中に、別の観点から、それぞれ独立して、2種類の手続を述べたことがあります。
【資料5:関連記事】

企業実務を知らず、机上の理論を振りかざす人たちにとって、「そんな安全装置があったのか」と驚く仕組みです。


現代の管理会計論などでは循環取引を看破できない


勘違いしないで欲しいのは、本ブログは、循環取引を推奨しているわけではないことです。
循環取引は会計不正の一つであり、それに手を染める企業は、糾弾されなければなりません。

本ブログで訴えたいのは、会計不正を見破る側(外部の分析者や取引銀行)の心構えはどうなのか、を問うことにあります。

循環取引などの会計不正を見破るには高度なノウハウを必要とするが、そのノウハウを、アナタは持っているのか、ということを問いたい。


残念ながら、現代の管理会計論や経営分析論の教科書に書かれてあるノウハウで、会計不正を見破るのは難しい。
たとえ人工知能AIを駆使したとしても。

例えば、先ほど、2社間での循環取引はあり得ない、と説明しました。
しかし、A社とB社それぞれに狡猾な担当者がいた場合、2社間で共謀して循環取引を仕組むことは可能です。

そのとき、アナタは、循環取引だと見破ることができるのか。


A社とB社との間で、キャッシュのやり取りがなければ、「それは無償支給の取引です」と抗弁されて、アナタは恥をかく。

キャッシュのやり取りがあれば、「それは有償支給の取引です」と抗弁されて、これまた、アナタは恥をかく。
【資料6:関連記事】

失礼ながら、次の受賞論文で指摘しているように、損益分岐点分析(CVP分析)を基礎に置いた管理会計論や経営分析論で、循環取引を見破るのは難しい。
【資料7】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記の受賞論文にある理論を用いると、一見「まっとうな取引」に見える有償支給・無償支給であっても、循環取引だと看破できます。

そうしたノウハウを持たずに、他者が論じている話をコピー&ペーストして、さも自分が考えついたかのように語るのは「理論の循環取引」、いや「理論のタライ回し」と呼ぶべきもの。

創造と革新の気概を欠いた者たちが、会計の世界で跳梁跋扈する限り、循環取引の連鎖を断ち切るのは難しい。
〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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