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zoom RSS 公認会計士高田直芳:循環取引は会計不正ではなく連鎖倒産のトリガーにすぎない

<<   作成日時 : 2018/06/09 01:00   >>

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循環取引は会計不正ではなく
連鎖倒産のトリガーにすぎない



このところ連続して、循環取引の話題を持ち出しました。
【資料1:関連記事】
  1. 循環取引を会計不正だと断罪する人々の得意顔に鼻白む
  2. 循環取引は破綻するのに、有償支給や無償支給は、なぜ破綻しないのか

私見を述べるならば──、

循環取引そのものは、会計不正ではない。

という立場です。

根拠の1つめは、循環取引では、取引実態が存在することです。

上記【資料1:関連記事】で紹介した日本公認会計士協会の委員会報告『循環取引等不適切な会計処理への監査上の対応等について』も認めています。

同報告「1.循環取引等の特徴」によれば、「取引先は、実在することが多」く、「資金決済は、実際に行われることが多い」と。


循環取引では、有形物のやり取りだけでなく、ソフトウェアなどの無形物でも、在庫記録や会計記録が、きちんと(または周到に)行なわれます。

日本公認会計士協会の委員会報告では、こうした記録を「偽装」と断じています。

しかし、取引実態があるのだから、偽装というのは、いいすぎだ。


根拠の2つめは、取引金額の大きさからいえば、循環取引よりも、有償支給取引のほうが、度が過ぎていること。

例えば、次の関連記事では、元請け先と下請け先との間で、法外な価格で取引される有償支給の実例を紹介しました
【資料2:関連記事】

上記の関連記事では、元請け側で1万円で仕入れた材料を、下請けに対して52万円で有償支給する例を紹介しています。
これは仮設例ではなく、多くの企業で採用されている実例です。

なぜ、このように法外な価格設定で、元請け先と下請け先との間で、有償支給の取引が行なわれるのか。
上記の【資料2:関連記事】では、その理由を2つ、紹介しています。


有償支給の取引が是認される理由として、未実現利益の相殺消去が挙げられることがあります。

有償支給の場合、利益が付加されても、それは取引の最後で消されるのだと。
循環取引には、それがないと。


しかし、それは違います。
循環取引を行なう場合は、粗利益を1円も付加せず、売上高と仕入高とを同額でやり取りすることが多い。

循環取引で、利益の積み上げは二の次。
回転数を多くすることによって、企業規模を大きく見せるのが主目的です。

循環取引の場合、未実現利益は、最初からゼロ。
相殺消去を考えるまでもない。
結果からいえば、未実現利益を相殺消去した後の、有償支給の取引と何ら変わりがない。

ところが、有償支給の取引は日常的に行なわれているのに対し、循環取引は必ず経営破綻を引き起こす。

両者の違いは、どこにあるのか。
上記【資料1:関連記事】2. で説明しました。


循環取引が会計不正だと糾弾されるのは──、

循環取引は、連鎖倒産のトリガー(引き金)になるから。


経営が破綻した後に「ああ、これは循環取引だったのか」と後講釈で評価するにとどまるのが、循環取引の特徴だといえます。

すなわち、循環取引そのものは、会計不正ではない。
破綻するまでは、正常な他の取引との区別がつかない。

だから、日本公認会計士協会は、次のように嘆いているのです。
【資料3】日本公認会計士協会委員会報告
循環取引等不適切な会計処理への監査上の対応等について

問題発覚後に調査を実施した結果、取引状況(例えば、書類上のやりとり又は資金の動き)に不整合な点を指摘される場合もあることから、一般的には監査上の対応に問題があったかのように見られることが多い。


もし、人工知能AIでなければ循環取引を発見することはできない、と弱音を吐くのであれば、そんな監査など、やめちまったほうがいい。

破綻した後でわかるのなら苦労はしない。
そういう恨み節も聞こえてきそう。


ヒトの知恵だけで、破綻する前に、その兆候を探し出すことはできないのか。
それを知る手掛かりとして記したのが、上記【資料1:関連記事】2. の手続でした。

加えて、次の拙著228ページに掲載してある方程式が、ぴたりと当てはまった経験をしたことがあり、循環取引のカラクリに得心したことがありました。
会計&ファイナンスのための数学入門
高田 直芳〔日本実業出版社〕
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参考までに、上掲書228ページに掲載してある方程式を示すと、次のとおり。
【資料4】最適キャッシュ残高方程式\[\displaystyle \large {\small{\sum}} \frac{\left(\begin{array}{c} \frac{1.88 \sigma }{ \sqrt{m}} \end{array}\right)^a }{a!} =0.097\cdot e^{{\frac{1.88\sigma}{\sqrt{m}}}} \]

上記【資料4】の方程式は、次の「ポアソン分布」をもとに、私(高田直芳)が独自に導き出したものです。
【資料5】ポアソン分布\[\displaystyle \large P(X(t)=k) = \frac{(\lambda t )^k}{k!}e^{-\lambda t} \]

上記【資料5】のポアソン分布は「馬に蹴られて落命する兵士の数」を言い当てたことで有名。
詳細は、次の書籍414ページを参照。

確率論・統計学では通常、2項分布が用いられます。
とり得る値を有限個数に限定することで、正確性に優れているからです。

それに対し、ポアソン分布は、利便性に優れています。
すなわち、これを最適キャッシュフロー残高方程式へ応用することで、無数に存在する取引件数の中から、滅多に起きない「経営破綻」という確率事象を探ることが可能となるからです。

循環取引の存在を解析するには、抜群の効果があるといえるでしょう。


循環取引は、絶対的な信頼を置いた相手と、相思相愛の間柄で仕組まれるもの。
人の恋路を邪魔するヤツを、後ろ足で蹴飛ばす馬力が、循環取引にはあります。

それにもかかわらず、2社間の取引に敢えて干渉しようとするならば、【資料4】にある「標準偏差 \(\displaystyle \large \sigma \) 」と「自然対数の底 \(\displaystyle \large e \) 」を兼ね備えた最適キャッシュフロー残高方程式が、強力なアイテムとなります。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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