会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
会計物理学&会計雑学講座
Accountphysics & Accounting Trivia
© 2015 TAKADA Naoyoshi & CPA FACTORY Co.,Ltd.
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:損益分岐点売上高を操る人には関係のない話題

<<   作成日時 : 2018/07/20 01:00   >>

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損益分岐点売上高を操る人
には関係のない話題
_

次の関連記事では、数研出版の赤チャートの上をいく、研文書院の黒チャートを紹介しました。
【資料1:関連記事】

上掲記事で紹介した黒チャートで、端折った箇所がありました。
「263ページから266ページにかけて、興味を惹かれる解法が掲載されていたから」の部分になります。

この黒チャート263ページ以降で説明されているのは、次の関連記事でも紹介したニュートン法。
【資料2:関連記事】

高校生でニュートン法を学ぶのか──、などと感心している場合ではありません。
オトナはもっと頑張らないと。

ただし、黒チャートで解説しているニュートン法をもってしても、次の受賞論文で説明しているタカダ式操業度分析を、すんなりと解くことはできません。
【資料3】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

まず、上掲受賞論文のどこで、ニュートン法を必要とするのか。
上掲受賞論文5ページに掲載している〔図表6〕を、次の【資料4】に再掲します。
【資料4】タカダ式操業度分析
画像

上記【資料4】の左下に損益操業度点、そして右上に収益上限点があります。
これらの2点は、売上高線 \(\displaystyle \large y=x \) と、総費用曲線 \(\displaystyle \large y=b \cdot e^{tx} \) との交点です。

これら2種類の交点の座標を求めるために、上掲【資料1】の黒チャートにあるニュートン法のノウハウを必要とします。


「交点の座標を求めるのであれば、2本の方程式を連立させ、\(\displaystyle \large x= \) の形にして解けばよいのでは?」と疑問に思うところ。

はい、私(高田直芳)以外の人が操る損益分岐点分析(CVP分析)では、そういう解きかたをします。

例えば損益分岐点分析の場合で、変動費率を \(\displaystyle \large a \) 、そして固定費を \(\displaystyle \large b \) としたとき、損益分岐点売上高 \(\displaystyle \large x \) は、次の(3)式でその解を求めることができます。
【資料5】損益分岐点売上高の求めかた\begin{eqnarray} \large \begin{cases} y =x \\ y=ax+b \end{cases} \tag{1} \end{eqnarray}   ↓\[\displaystyle \large x=ax+b \tag{2} \]   ↓\[\displaystyle \therefore \large x= \frac{b}{1-a} \tag{3} \]

上記【資料5】の解法手順を「変動費率」や「固定費」などの日本語で説明したものについては、次の拙著247ページを参照。
決定版 ほんとうにわかる管理会計&戦略会計
高田 直芳〔PHP研究所〕
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上記【資料4】にある2つの交点の座標を求める場合も、次の(1)式にある連立方程式を組み立てるところから始めるのが、正しい作法です。
【資料6】\begin{eqnarray} \large \begin{cases} y =x \\ y=b \cdot e^{tx} \end{cases} \tag{1} \end{eqnarray}   ↓\[\displaystyle \large x=b \cdot e^{tx} \quad ( または\ x-b \cdot e^{tx}=0 ) \tag{2} \]   ↓\[\displaystyle \large x=\rm{?} \tag{3} \]

上記【資料6】(3)式までを導く前に、注意点を1つ。

上記【資料6】(1) 式の下段にある方程式 \(\displaystyle \large y= b \cdot e^{tx} \) は、自然対数の底 \(\displaystyle \large e \) を用いた複利関数です。
この複利関数を導くにあたっては、次の実務経験が基礎になっています。
【資料7】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。

    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。

    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。

    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。

    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。

    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。

    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。

    • 入金と出金を無限回数で繰り返すその様は、無限で連鎖する複利計算を行なっていることと同じです。
  • 株式市場や仮想通貨市場を観察してみてください。

    • 人気が沸騰すればするほど、限りなくゼロに近い時間軸の中で、膨大な数の取引が行なわれます。

    • 買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶその経済現象は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • マクロ経済の産業連関表を観察してみてください。

    • ある産業で生産された中間財は次の産業へ投入され、そこで生産された中間財は次の産業へと投入されていきます。

    • その流れは、マクロ経済レベルで、無限回数の複利計算を行なっていくことと同じです。

すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることから、これを複利関数で表わすのは、理論上、当然の帰結になります。

それに対して、【資料5】(1) の下段にある式 \(\displaystyle \large y=ax+b \) は、単利計算構造の式である点に注意してください。

単利と複利は、預金利息の例でもみられるように、親戚同士。

親戚であるならば、【資料5】の(1)式から(3)式まで展開できるのと同様に、【資料6】で(1)式から(3)式まで展開できるはず──、と考えてしまうのが、数学嫌いの浅はかさ。


この問題に関し、数学の専門書を深く深く調べていったところ、次の方程式について言及しているものがありました。
【資料8】\[\displaystyle \large ax-b^x+c=0 \quad (a,b,cは定数) \]

残念ながら、その専門書では、上記【資料8】の方程式を \(\displaystyle \large x= \) の形にして解く方法は、現時点では「ない」と明言していました。

上記【資料8】が解けないのであれば、【資料6】(2) 式を解けるはずがない。

そうか、解けないのか。
【資料6】(2) 式を解くために、これ以上、あれこれ悩む必要がなくなりました。


今から数百年後には、【資料8】を解く数学者が現れるかもしれません。

そうなれば、そこからさらに数百年を経た後に、【資料6】を解く公認会計士が現れるかもしれません。

気長に待つことにしましょう。


ところで、【資料8】や【資料6】の方程式を解くにあたっては、その前に、もっと単純明解な問題を解決する必要があります。
それを説明しているのが、次の書籍。

上掲書348ページでは、次の記述があります。
【資料9】吉田 武『オイラーの贈物』

さらに興味深いことに、超越数である \(\displaystyle \large e \) 、\(\displaystyle \large \pi \) を組み合わせた \(\displaystyle \large e+\pi \) や \(\displaystyle \large e\times \pi \) が超越数であるかどうか、現在もなお解明されていないのである。


自然対数の底 \(\displaystyle \large e \) に円周率 \(\displaystyle \large \pi \) を加算させたものさえ、いまだ解明されていない、というのは驚きです。
単純明快でありながら、何という奥の深さ。

損益分岐点売上高を求める程度で満足してしまっている人たちにとって、この深遠な問題は、驚きでもなんでもないでしょうけれど。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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