会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
会計物理学&会計雑学講座
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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
上記研究大会のパワーポイント資料は、こちら。
関東信越税理士界『論陣』掲載論文(PDF 3枚)
『有償支給取引と循環取引に内在する
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執筆者 高田 直芳

zoom RSS 公認会計士高田直芳:曲解に満ちた経営分析と勉強不足なだけの四半期報告制度

<<   作成日時 : 2018/07/12 01:00   >>

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曲解に満ちた経営分析と
勉強不足なだけの四半期報告制度



論理の根本に錯誤や曲解があると、その後にどれほど精緻な制度設計を行なおうとも、議論はとんでもない方向へ行ってしまうのだなぁ、と感心してしまったのが、次の日経記事。
【資料1】日本経済新聞2018年7月11日
  • 四半期決算の弊害(大機小機)

上記のタイトルにもあるとおり「四半期決算に弊害あり」と考えている「上場企業、とりわけ製造業の経営者」や「投資家」は、次の分類を理解しておらず、勉強不足も甚だしい、というのが、個人的な感想です。
【資料2】

  1. 費用一定

  2. 費用逓増

  3. 費用逓減(←低減ではありません)

そして、次の決算期間に応じて、上記【資料2】の現われ方が異なることを、「上場企業、とりわけ製造業の経営者」や「投資家」はわかっていないようです。
【資料3】
  1. 短期決算
    • 日次決算(毎日、決算を行なうこと)
    • 週次決算(1週間ごとに決算を行なうこと)
  2. 中期決算
    • 月次決算(毎月、決算を行なうこと)
    • 四半期決算(3か月ごとに決算を行なうこと)
  3. 長期決算
    • 半期決算(上半期終了後に、決算を行なうこと)
    • 年度決算(年度末に1回、決算を行なうこと)

まず、【資料3】1. の短期決算(日次決算と週次決算)では、【資料2】にある3態様は、いずれも観察されません。
短期決算で把握されるのは、キャッシュフローだけです。

費用が逓増するか、逓減するかは、時間軸が短すぎて把握できないのです。

まさか、月ごとに発生する役員報酬・給与手当、リース料、売掛金、買掛金などを、営業日数(例えば25日)で割って、それを日々配賦している企業はないでしょうねぇ。

「会計知」がないと、税理士や公認会計士などの専門家が腰を抜かすような経理処理を行なう企業を、ときどき見かけるので、注意しないといけません。


上記【資料3】3. の長期決算(半年決算と年度決算)では、【資料2】1. の費用一定だけを観察することができます。

この観察事実は、私が、次の拙著で、帰納的に実証しました。
決定版
ほんとうにわかる株式投資

高田 直芳〔PHP研究所〕
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上掲書を出版した当時(2006年)は、いまだ四半期決算制度が整っておらず、6か月に1度の半期報告書と、年に1度の有価証券報告書の2種類だけが開示されていました。

年に2回だけ開示される報告書を使って分析すると、費用の98%〜99%は、変動費の性質を表わしました。

当たり前といえば、当たり前の話。
半年や1年という長いスパンであれば、固定費のほとんどが変動費化してしまうからです。

どう解釈しても、これは「費用一定」。


上記【資料3】の中で検討の余地があるのが、その 2. の中期決算(月次決算と四半期決算)です。

中期決算のうち、メインは月次決算にあります。
役員報酬や給与手当は月1回の支払いだし、リース料や支払利息も月ごとの支払い。

売掛金や買掛金の決済状況を反映させると、3か月分を足し合わせた四半期決算も、月次決算と並んで有意義なデータを提示してくれます。


と、ここで注意点を述べておきます。

上記【資料2】2. の費用逓増には、次の関連記事などで紹介した通り、限界費用逓増と平均費用逓増とがあります。
【資料4:関連記事】

また上記【資料2】3. の費用逓減のほうにも、限界費用逓減と平均費用逓減とがあります。

限界費用や平均費用だけでなく、総費用を含めた逓増・逓減の関係については、次の書籍で詳しく解説されています。
クルーグマン ミクロ経済学(第2版)
東洋経済新報社
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さて、現在の「上場企業、とりわけ製造業の経営者」と「投資家」は全員、次のように理解しています。
【資料5】
  1. 限界費用は常に一定である。
  2. 平均費用は永遠に逓減する。

上記【資料5】の根拠は、現代の管理会計や経営分析は、損益分岐点分析(CVP分析)に基礎を置き、原価計算制度は予定配賦(標準配賦)に基礎を置いているからです。

これら損益分岐点分析や予定配賦計算からは、【資料5】が、演繹的に導かれます。


実際の企業活動が【資料5】の通りであるならば、【資料1】の日経記事にあるような弊害は起きません。

ところが、実際には弊害が起きている。
なぜか。

現実の企業行動を観察すると、次の【資料6】になっているからです。
【資料6】
  1. 限界費用は逓増する。
  2. 平均費用は、逓減した後、逓増に転じる。

上記【資料5】と【資料6】を比較すると、次のとおり。
【資料7】

  • 限界費用は、【資料5】1.では一定であるのに対し、【資料6】1.では逓増する。

  • 平均費用は、【資料5】2.では永遠に逓減するのに対し、【資料6】2.では逓増に転ずる。

こんなに反りが合わないのでは、四半期決算で弊害が噴出するのは当然です。


おまけに「上場企業、とりわけ製造業の経営者」や「投資家」の大半は、例えば【資料2】にある逓増と逓減の違いを理解していない。

計算式や図表を駆使した解析幾何のノウハウを用いれば、【資料7】を視覚的に説明できるのですが、所詮、彼らには馬耳東風。

こういう勉強不足が、錯誤や曲解を生むのです。


今回は、平均費用に注目してみます。

上記【資料5】2.では、平均費用は永遠に逓減するという。
これは「量産効果は無限に発揮される」と同義です。
「作ったモノはすべて売れる」と言い換えてもいいでしょう。

「上場企業、とりわけ製造業の経営者」の方々は、「作ったモノは、すべて売れる」と、かたく信じています。
損益分岐点分析や公式法変動予算から、演繹的に導かれるのだから、疑いようがない。

なんとも、おめでたいことで。

もうすぐ平成の御代が終わろうとしているのに、「上場企業、とりわけ製造業の経営者」の方々は、いまだに鹿鳴館的発想でいるようだ。

上記【資料5】の仕組みは、大正デモクラシーの時代あたりに確立されたものなので、「鹿鳴館的」という表現は的外れではないでしょう。
【資料8:関連記事】

上記【資料6】2.において、逓減から逓増へ転じる点は、どこにあるのか。
これは、次の受賞論文7ページ〔図表8〕にある点Kのことです。
【資料9】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

参考までに紹介しておくと、上記【資料9】の受賞論文7ページ〔図表9〕は、【資料5】を視覚化したものです。
また、同7ページにある〔図表8〕は、【資料6】を視覚化したものです。

その7ページ〔図表8〕にある点Kを見つけられない企業は、どう対応するか。
これはもう、管理会計や原価計算制度の粉飾しか選択肢がありません。
【資料10:関連記事】

結論を述べましょう。
四半期決算には何ら弊害はありません。

問題の本質は「上場企業、とりわけ製造業の経営者」や「投資家」たちの勉強不足にあると、私(高田直芳)は判断しています。

おのれの怠慢を棚に上げて、四半期決算を曲解し、四半期報告制度を批判するのはやめてほしいものだ。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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