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zoom RSS 公認会計士高田直芳:等比数列を経て乗数理論と経済効果のパラドクスを解く

<<   作成日時 : 2018/08/15 01:00   >>

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等比数列を経て乗数理論と
経済効果のパラドクスを解く



前回記事では、日光例幣使街道から渡良瀬遊水池を経て、コッホ曲線を取り上げました。
【資料1:関連記事】

コッホ曲線のような、フラクタルの世界を、企業実務へどのように応用するかは、いまだ試行錯誤の段階。
当面の課題は、三角関数の習得にあるので。

数学で実務の用に資するレベルといえば、次の書籍123ページで紹介されている乗数理論になるでしょう。
【資料2】
新体系・高校数学の教科書 下
芳沢 光雄
〔講談社ブルーバックス〕

ところで、経済学には乗数理論というものがある。たとえば景気刺激策として公共の道路や建物をつくる公共投資を \(\displaystyle \large a \) 兆円増やしたとする。


続いて、限界消費性向を \(\displaystyle \large r \) とした場合、生産額の累計 \(\displaystyle \large S_n \) が次のとおりになることが説明されています。
【資料3】\[\displaystyle \large S_n = a+ar+ar^2+ar^3+\ldots +ar^{n-1} \tag{1} \]\[\displaystyle \large \lim_{ n \to \infty } S_n = \frac{a}{1-r} \tag{2} \]

上記【資料3】(1)式を「等比数列の和」といい、同(2)式を「無限等比級数」といいます。

経済学では、乗数理論と名を変えます。


ほら、経済記事で「投資の経済効果〇〇億円」や「台風の被害総額〇〇億円」というのがあるでしょう。
あれは、乗数理論で試算したものです。

なお、経済学では、限界消費性向は \(\displaystyle \large c \) を用い、投資は \(\displaystyle \large \varDelta I \) を用いるのが通例です。


乗数理論を用いて、経済効果が抱える限界を1つ。

先ほどの記号を利用して、投資額 \(\displaystyle \large a=0.9 \) 、限界消費性向 \(\displaystyle \large r=0.1 \) とすると、次のとおり計算することができます。
【資料4】\[\displaystyle \large 0.9+0.09+0.009+ \ldots + 9 \times 0.1^n +\ldots =\frac{0.9}{1-0.1}=1 \tag{3} \]\[\displaystyle \large \therefore0.999\ldots=1 \tag{4} \]

上記【資料4】(4)式は、左辺の9が無限に続く場合、「1」に等しいことを表わしています。
上掲書『新体系・高校数学の教科書 下』128ページでその経緯が説明されています。

この「1」は何を意味するか。

当初の公共投資によって費やされたカネのすべてが消費に費やされ、その消費によって費やされたカネのすべてが次の消費によって費やされていくのであれば、政府が予定していた経済効果は100%(=1)実現されることを表わしているのです。


ところが、【資料4】(4) 式の左辺の9が有限にとどまる場合は、「1」よりも小さくなります。

これは何を意味するか。
当初の公共投資によって費やされたカネの一部が、消費にまわらないことを意味します。


消費にまわらずに、どこへ行くのか。

個人であれば「貯蓄」です。
企業であれば「内部留保」というヤツです。

次の関連記事では、個人資産が1800兆円も蓄えられていることを紹介しました。
【資料5:関連記事】

次の関連記事では、企業の内部留保が260兆円もあることを紹介しました。
【資料6:関連記事】

次の日経記事にもあるとおり、今後、もっと巨額の蓄えが積み上がっていくことでしょう。
【資料7】日本経済新聞2018年8月15日
  • 宙に浮く4兆円 国債大量償還 再投資先見つからず。

こうした蓄えを吐き出させようとして取り組まれているのが、日銀の低金利政策であり、政府によって時々検討される内部留保課税です。

そうした状況で、国債の大量償還は、自己矛盾ですね。


来秋には、消費税が引き上げられます。
普通に考えれば、将来に備えて、蓄えをさらに増やそうとする。

これは、日本経済が抱える大きなジレンマであり、パラドクスでもある。
一気に解決するマクロ経済理論は、残念ながらありません。

だからでしょう。
近年のノーベル経済学賞は、行動経済学などミクロな面ばかりが注目される。


とりあえず、無駄な消費は控えないとね。

先日、訪れた道の駅では、コロッケや総菜売り場の真横にトイレがあって、用を足す殿方の姿が丸見え。
この建物を設計した人物は、何を考えているのだろう。

行動経済学を考えるまでもなく、閑古鳥が鳴くわけだ。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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