会計物理学&会計雑学講座公認会計士高田直芳

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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士
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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
執筆者(受賞者)公認会計士 高田 直芳
日本公認会計士協会 研究大会 発表論文 (PDF 12枚)
『管理会計と原価計算の革新を目指して』
執筆者(発表者)公認会計士 高田 直芳
上記研究大会のパワーポイント資料は、こちら。
関東信越税理士界『論陣』掲載論文(PDF 3枚)
『有償支給取引と循環取引に内在する
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:携帯会社の儲けすぎ批判で無能ぶりを曝す管理会計と経営分析

<<   作成日時 : 2018/09/04 01:00   >>

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携帯会社の儲けすぎ批判で
無能ぶりを曝す管理会計と経営分析



議論が噛み合わない人たちの話を、傍観しているときほど、愉快なものはありません。

最近、桟敷席でニヤニヤと笑ってしまったのが、菅義偉官房長官と携帯電話会社3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクグループ)のやり取り。

次の日経記事で、その概要が紹介されています。
【資料1】日本経済新聞『一目均衡』2018年9月4日
  • 携帯会社はもうけすぎか


3社が政府の批判を受け入れて値下げに動くのか、あくまで「価格設定は経営の専権事項」と突っぱねるのか。


官房長官と携帯3社との間で、なぜ、議論が噛み合わないのか。
その理由は、双方が、命題として成り立たない命題を持ち出しているからです。

命題とは何か。
次の赤チャート87ページで、その下にある【資料2】の通り解説されています。
【資料2】『チャート式数学TA』87ページ

「100は大きい数である」は、命題ではない。

なぜなら、100は、10と比べれば大きい数であるが、200と比べれば小さい数であり、正しいか正しくないかが曖昧で判定できないからである。


官房長官は「100は大きい数である」と主張し、携帯3社は「100は大きい数ではない」と主張しているようなもの。

法務にどれほど長けていても、数学的な思考を欠いては、議論は平行線のまま。
これが「法務の蹉跌」と呼ばれるものです。
【資料3:関連記事】

携帯電話の料金が高いのか、安いのかを議論するにあたっては、上記【資料1】の日経記事にヒントが記述されていました。
次の【資料4】の通り。
【資料4】日本経済新聞『一目均衡』2018年9月4日

寡占によるレント(超過利潤)が発生していると見るのが妥当ではないか。


レント(超過利潤)とは何か。
これは次の関連記事で取り上げました。
【資料5:関連記事】

そこで問題となるのが、超過利潤(レント)は、どのように測定されるのか、ということです。

超過利潤を具体的に測定できれば、100が大きいのか、大きくないのか、といった判断を行なうことができ、相手を説得することができるようになります。


では、超過利潤を、どうやって測定するか。
これを測定するためには、経済学で超有名な、次の利潤最大化条件を求める必要があります。
【資料6】利潤最大化条件

限界収入MR=限界費用MC


上記の条件が成り立つ経営環境下では、企業の利益は最大となります。

そして、この最大利益と、損益計算書に計上された実際利益との差額が、超過利潤になります。


官房長官が、携帯3社に対して議論を吹っ掛ける場合、携帯電話料金の引き下げを、直接求めてはなりません。

また、携帯3社の儲けすぎを、直接批判しても意味がない。
そのような批判は、議論が平行線となるだけ。


政府が批判すべきは、次のこと。
すなわち──、

  • 最大利益を測定することによって、実際利益との差である超過利潤を測定すること

  • 最大利益や超過利潤が大きすぎるのであれば、その大きさを問題視して、携帯電話料金の引き下げを求めるべきこと

携帯電話料金が高いか安いかのレベルで議論をしていたのでは、話が噛み合うわけがない。

官房長官と携帯3社それぞれが主張する「命題の真偽」を判断するには、超過利潤を測定すること、そしてその前提として、最大利益を算定する必要があることがわかります。


ところが、この点に関して、経済学や会計学は無能ぶりを曝け出す。
まずは、経済学から。

欧米だけでなく日本の経済学書では、そのすべてで利益最大化条件(MR=MC)が掲載されているし、超過利潤の概念も説明しています。

それにもかかわらず、有価証券報告書や決算短信のデータを用いて、最大利益や超過利潤を具体的に計算した専門書や学術論文は、世界中を探しても、1冊も1本も存在しないのです。

経済学は「実務に役立たない学問だ」と揶揄される所以であります。
【資料7:関連記事】

では、有価証券報告書や決算短信を活用することが多い、会計の世界はどうなのか。

残念ながら、現代の管理会計論や経営分析論では、利潤最大化条件(MR=MC)に触れた専門書や学術論文は1冊も1本も存在しないし、超過利潤(レント)の意味さえ理解されていない。

だから、会計は、経済学から見下されるのです。
【資料8:関連記事】

現状では、経済学からも会計学からも、具体的な有価証券報告書などのデータを用いて、利潤最大化条件を明示できていないのです。

上記【資料1】の日経記事も、レント(超過利潤)を持ち出したのはいいが、その測定方法を知らず。
これでは、議論が噛み合うわけがない。


いえ、1つだけ、平行線を辿る議論を交差させる方法があります。
次の受賞論文です。
【資料9】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

上記【資料9】の受賞論文にある「タカダ式操業度分析」は、上場企業の有価証券報告書データを用いて、利益最大化条件(MR=MC)を具体的に測定する手法を説明しています。


タカダ式操業度分析を用いて最大利益を求めると、携帯3社がどれほど巨額の超過利潤を抱えているかが、よぉくわかります。

官房長官のいう「携帯電話料金は今より4割程度下げる余地がある」という主張は、まだまだ甘いぜ。


なお、次の関連記事では、ソフトバンクとKDDIについて、「企業価値」という観点から、両社の違いを浮かび上がらせています。
【資料10:関連記事】

上記【資料10:の関連記事」で掲載した、ソフトバンクとKDDIの推移表を見ると、上記【資料1】の日経記事にあった「ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の傑出した目利き力は別格として」という記述に、納得がいくことでしょう。

KDDIは、ソフトバンクの足元にも及ばないことが、上記【資料10:関連記事】の推移表で、具体的な数値として証明されています。


通常、これだけの大差があれば、一方は駆逐されるはず。

「商いは牛の涎」とは、よくいったもの。
携帯3社の鼎立関係がいまだに成立しているのは、寡占がどれほど太く甘いヨダレを垂れ流しているか、その証左だといえるでしょう。
〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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