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執筆者 税理士 高田 直芳

zoom RSS 公認会計士高田直芳:AI監査は会計不正を見抜く以上に監査の質を劣化させるか

<<   作成日時 : 2018/09/08 01:00   >>

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AI監査は、会計不正を見抜く以上に
監査の質を劣化させるか
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2018年9月5日付の日本経済新聞では「大手監査法人で人工知能(AI)を活用した会計監査が広がっている」ことが紹介されていました。
【資料1】日本経済新聞2018年9月5日
  • AI監査 会計士支える
    不正発見しやすく 人手不足に対応も

「数万パターンに上る会計仕訳から、収益の過大計上や費用の過少計上など不正につながるような異常な資金の動きを自動で検出する」(上掲記事)らしい。

そうなのかなぁ。
半値八掛け二割引き程度の話だと考えておいたほうが無難でしょう。

AIに頼りすぎると、ヒトの創造力に欠損が生じ、革新の気概を忘れて、人材の劣化に拍車がかかりそうな予感がします。
【資料2:関連記事】

それはともかく、人工知能AIの働きぶりに指をくわえて傍観するヒトが増殖する中、AIはどのような手法で会計不正を発見するのか。

そのプログラムの内幕を以下で探ることにより、監査人の劣化も合わせて検証してみることにします。


計算の簡略化のため、取引の総数を、100件とします。
そのすべてを精査させるのが、AIに期待される最たるものでしょう。

しかし、それでは有象無象の取引までもが抽出されてしまい、本当に不適切な取引が隠れてしまう。
特に「諸口」という勘定が、クセ者です。
【資料3:関連記事】

そこで、在庫管理や品質管理で用いられるABC分析を、AI監査でも用います。

親戚筋にロングテール分析というものがあり、これはコンビニエンスストアなどの売れ筋管理として有名です。


さて、100件の取引にABC分析を適用することによって、Aランクに属する取引を10件、抽出したとしましょう。

その10件のうち、不適切な取引が「少なくとも1件」含まれている確率は、どれほどか。
これが問題。

ただし、過去の数千件・数万件の取引事例を参考にして、全事象の5%に「不適切な取引が存在するはずだ」という条件を付します。


どうやって解くか。

\(\displaystyle \large 10件 \times 5% =0.5件 \) だから、四捨五入して1件。
ゆえに「確率は100%だ」という答えが多いかもね。

あははは、小学生の算数か。
AIスピーカーから、鼻で笑う声が聞こえそう。


正解は、次の【資料4】に示す通り、42%です。
【資料4】
\[\displaystyle \large \left(1- \frac{
{}_p \mathrm{ C }_{10}
}{
{}_{100} \mathrm{ C }_q
}
\right) \times 100 \fallingdotseq 42%
\]

全事象(100件)中の5%を精査するよりも、Aランク(10件)中の42%を精査するほうが効率がいい。


会計不正の常習犯企業であれば、5%という条件を、10%に高めてもいい。

その場合、Aランクの中で、不適切な取引が「少なくとも1件」含まれている確率は、【資料4】の42%から、67%にまで跳ね上がります。

Aランクのうちの \(\displaystyle \large \frac{2}{3} \) に、疑わしき取引がある、ということです。


会計や監査で、確率論や統計学の必要性を訴える人は多い。
【資料5:関連記事】

御題目だけは立派な人が多く、どれほどの人が理解できているかは疑わしい。

少なくとも、他者のノウハウを盗用することを恥とも思わぬ連中に、AIが仕掛けるカラクリは理解できまい。

それを奇貨として、会計不正は、ますますブラックボックスと化す。
AIに頼り切り、小学生の算数レベルのノウハウしか持たぬ監査では、その質はますます劣化することでしょう。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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