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制作著作 高田 直芳 公認会計士 税理士 会計物理学&会計雑学講座 Accountphysics & Accounting Trivia © TAKADA Naoyoshi & CPA FACTORY Co.,Ltd. |
瑕疵ある分析では LIXILが救われない 「う〜ん、これは困った話だ」と痛感したのが、次の記事。 【資料1】日本経済新聞2018年11月17日 上掲記事では、損益分岐点が高くなりすぎていることが指摘されていました。 おいおい、そのような分析では困るぞ。 LIXILの内紛はともかく、企業外部の者の分析能力に問題があっては、どうにも救われない。 損益分岐点を用いた分析(CVP分析)は、次の受賞論文で論証しているように、「瑕疵ある理論」であることを、まずは指摘しておきます。 【資料2】 瑕疵であることの最大の原因は、損益分岐点分析が、直線形の単利計算構造に基づいている点にあります。 直線形ということは、損益分岐点を超えた先には、無限の利益拡大が保証されているということ。 だから、損益分岐点分析に固執するのであれば、安値販売であろうが在庫一掃処分であろうが、LIXILは売上高をがんがん増やせばいい、という結論になります。 損益分岐点を超えさえすれば、その先には、ユートピアの世界が広がっているのだから。 いや、ちょっと待て。 損益分岐点分析を振りかざす者たちよ。 そういう視点で企業を分析するのは、いい加減にやめてほしい。 特にLIXILは、そういう視点で分析するものではない。 上掲【資料1】では、LIXILの業績を分析するにあたって2つの現象が、ヒントとして提示されていました。 そこを読み取らないと。 【資料3】 上記【資料3】は、損益分岐点の位置が高くなりすぎているかどうかとは関係がないことを読み取らないと。 LIXILの業績を分析するにあたり、上記【資料2】の受賞論文に掲載している図表を以下に掲げて、損益分岐点の愚かさを説明してみましょう。 【資料4】タカダ式操業度分析 上記【資料3】にある現象は、【資料4】の右上方にある収益上限点(点E)を左下へ貶(おとし)める効果があります。 これが、LIXILが直面している問題だ。 売上高が増えるにつれて、赤字から黒字へ転換する損益操業度点(左下に位置する点B)が高くなるかどうかは関係がないのです。 上記【資料4】にある曲線ABCDEは、次の【資料5】に示す企業活動を観察したことにより導き出したものです。 【資料5】 すなわち、企業のコスト構造やミクロ・マクロの経済構造は、無限回数で連鎖する複利計算機構を内蔵していることがわかります。 その「複利計算の思考」で描いたのが、【資料4】のタカダ式操業度分析です。 では、収益上限点(点E)が左下へ移動すると、どう結果を招来するか。 それを図解したのが、次の【資料6】です。 【資料6】 上記【資料4】の曲線ABCDEは、【資料5】にある赤色の曲線にあたります。 LIXILが抱える【資料3】の現象は、赤色の曲線を、左方向へシフトさせます。 これにより、右上方にある収益上限点(点E)が左下方へと滑り落ちていき、左下にある損益操業度点(点B)に近づいていく。 赤色の曲線は、緑色の曲線を経て、青色の曲線へとシフトし、次の関連記事で述べているように、このまま手をこまぬいていては、LIXILもいずれ虚数解を現出させることになるのです。 【資料7:関連記事】 LIXILよ、おまえもか。 |
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