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新日本法規財団 奨励賞 受賞論文 (PDF 32枚)
『会計学と原価計算の革新を目指して』
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zoom RSS 公認会計士高田直芳:経済学はなぜ企業実務で役立たないのか

<<   作成日時 : 2019/02/28 01:00   >>

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経済学はなぜ
企業実務で役立たないのか



次の記事では、管理会計やミクロ経済学を修める者にとって、非常に興味のある内容が紹介されていました。
【資料1】日本経済新聞2019年2月27日
  • 進化する経済(3) LINEの価値300万円?
    豊かさはGDPの外に(Neoeconomy)

興味を持ったのは、次の記述。
【資料2】日本経済新聞2019年2月27日

経済学ではこうした「お得感」を「消費者余剰」と呼ぶ。実感している豊かさなのに、国内総生産(GDP)をはじめ従来の経済統計では測り切れない。

GDPが主に把握するのは、販売価格からコストを差し引いた生産者側の利益である「生産者余剰」だからだ。


消費者余剰や生産者余剰という用語に馴染みがない場合、「機会損失」に置き換えてみるといいでしょう。

例えば、今月(2019年2月)の日経記事では、次の記述を見かけました。
【資料3】日本経済新聞(赤字箇所は筆者註)
  • ユニクロ既存店1月減収1%(2019年2月6日)

    シームレスダウンやウールコートなど冬物商品の販売が伸びた時期もあったが、値下げした商品の影響がみられた。前年が欠品が相次いだことで機会損失が出た反動も下支えしたもようだ。



  • 資生堂、高価格品手応え(2019年2月9日)

    資生堂が恐れるのは需要より供給不足だ。18年12月期は売上高にして400億〜500億円、営業利益で200億円前後の機会損失があったもよう。



  • 悪質クレーム、企業が対策、カスタマーハラスメント(2019年2月24日)

    顧客が要求する内容や方法が不当か判断するには一定の法的な観点が必要だ。もし正当なクレームだった場合には、企業の機会損失にもなりかねないという。


上掲記事を孫引き・ひ孫引きすると、風説の流布(金融商品取引法158条)になりかねないリスクがあります。

なぜなら、客観的な数値の裏付けに、怪しいところがあるから。
それを以下で検証してみましょう。


1つめは、生産者余剰について、上場企業などのデータをもとに、第三者的な立場から解析した経済学書や学術論文は、古今東西、1冊も1本も存在しないこと。

したがって、上掲【資料3】で用いられている機会損失は、客観的な数値に基づいておらず、鉛筆なめなめでプレス発表されているにすぎません。

2つめは、生産者余剰が計算できていないのだから、GDPで把握できるわけがない。


ただし、3つめとして、真実を述べている箇所もあります。
上記【資料2】にある通り、「お得感」や「消費者余剰」を、経済統計では測り切れていない、という点。

生産者余剰を計算できない経済学が、消費者余剰を計算できるわけがない。
【資料4:関連記事】

では、生産者余剰・機会損失・消費者余剰を、代数学や幾何学で解析する方法はないのでしょうか。
──あります。

例えば次の【資料5】は、JT(日本たばこ産業)の有価証券報告書をもとに、第三者的な立場から解析した図表です。
【資料5】
画像

上記【資料5】の基礎となる図表については、次の書籍447ページ〔図15-4〕を参照。
【資料6】
マンキュー経済学 I ミクロ編
グレゴリー マンキュー
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上掲書【資料6】447ページにある〔図15-4〕は、学者が机上で描いた観念図です。

それに対し【資料5】は、上場企業の有価証券報告書を用いて、具体的に描いたものです。

学者と実務家との取り組みかたの違いに、多少なりとも驚いてみてください。


上記【資料5】の見方を説明しましょう。
まず、多角形EDBCが、生産者余剰になります。

次に、線分EDより上の部分で、かつ、黒色の需要曲線で囲まれた部分が、消費者余剰になります。

そして、三角形DBAが、【資料3】にあった機会損失になります。
この機会損失は、上掲書【資料6】236ページの脚注で、死荷重( deadweight loss )として解説されています。

上記【資料5】を幾何学で描くことができれば、あとは代数学でそれぞれの面積を求めればいいだけの話。

資生堂について、【資料5】と同じものを作図すると、同社の機会損失は200億円に収まらないのですが、それは実務家である私が関知することではありません。


上記【資料5】の元ネタは、次の関連記事〔図表1〕に掲載しています。
【資料7:関連記事】

上記【資料7】は2012年3月に公開したものであり、現在はさらに精度を高めた計算手法を確立しています。

ただし、私は学者ではないので、解析幾何学や微分幾何学を管理会計へ応用するノウハウについて、講釈するつもりはありません。

IFRS(国際会計基準)などの条文解釈には秀でていても、「数学嫌い」が蔓延(はびこ)る会計の世界で、解析幾何学などを理解できる人がいるとは思えないし。


では、経済学に関わる人たちに、【資料5】を理解できるか。
それも無理です。

なぜなら、経済学は、上場企業の有価証券報告書を用いて、【資料5】にある赤色の供給曲線(限界費用曲線)さえ描けないのだから。

経済学が描く供給曲線は、次の受賞論文で指摘しているように、2次関数または3次関数にとどまります。
【資料8】
新日本法規財団 奨励賞 受賞論文
『会計学と原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)
執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳


日本公認会計士協会 研究大会 発表論文
『管理会計と原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)
執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

企業の供給曲線は、経済学が説くような2次関数や3次関数ではなく、「自然対数の底 \(\displaystyle \large e \) 」を用いた複利関数であることを、上記【資料8】で論証しています。

企業活動は複利計算構造を内蔵しているにもかかわらず、それを2次関数などで描いているようでは、経済学は初動の段階で頓挫しているのは明らか。

そのような体たらくで、その先、生産者余剰・消費者余剰・機会損失を語ろうなんて、笑止の沙汰としかいいようがない。

〔文責 高田直芳 税理士 公認会計士〕
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